好きな相手を見つけてしまえば周りなんてどうでも良くなる。これは誰だって一緒だ。人間なんて動物に生まれてしまえば尚更相手のことを自分のものにしたくて堪らないのだ。自分だけのものにして傍に置いておきたい……でも自分は他の人とも喋りたい……なんてほんと自分勝手。
「なんで家から出たの」
この人だってそうだ。
「俺家から出るなって言ってるよね?言うこと聞けないの?」
自分は外で色んな女を抱いているのに私には外に出ることさえも許されない。
「…………聞いてんの?」
もう疲れた……好きにしてよ。その意味を込めて私は首を横に振った。
「……なにそれイラつく」
外は雪が降っているのか彼の肩には少しだけ雪がついていた。それもお構い無しにコートを脱ぐと嫌でも香るきつい香水の匂い。
『……自分は他の女抱いてるくせに、』
………………言ってしまった。そう思った時には既に床に押し倒されていた。床に当たった頭と背中が痛い。ギリギリと音がなるくらい私の手首を締めつけ、私を睨みつけた。
『…………ってひょん、痛い』
……なんで私がこんなこと受けなきゃいけないの
「…抱いたよ、2人」
『……っ、』
別に彼の仕事はそういう性的な行為をする仕事ではない。普通の会社員だ。彼が他の女を抱くようになったのは2ヶ月前から、私が家から出れなくなったのはつい最近だ。
「2人ともすごい積極的だったよ」
…………やめて
「誘えば殻を破ったみたいに女になって」
なんで私が聞かなきゃいけないの
「ホテル着いてすぐ抱いたよ」
舌舐めずりをした後に私の首に顔を埋め、ガリッと歯型を付けた。
『……やっ、』
首を振っても歯型を付けるのをやめてくれない。ピリピリと首が痛む。痛さに耐える私を見て、再度私の首を舐める彼は何がしたいんだろう。
「……知りたい?」
少し息が荒いてひょんが言う
「なんでお前以外の女を抱いてるのか」
『………………っやだ…聞きたくない、』
なんでこんな意地悪なことをするんだろう。もう彼が考えていること全てが分からない。てひょんを睨みながら首を横に振った。
「……あっそ」
まるで私に興味が無くなったように冷めた目で見下ろされた。私の手首を握っていた両手を上にあげ、頭の上でまとめると規則良く付けられたネクタイを片手で荒く取り外し、私の両手を縛った。
『……やだっ』
両手を縛られていては私の上に乗っているてひょんを退かすことも抵抗をすることも出来ない。彼はそれをいいことにぷつり、と私のシャツのボタンをゆっくりと外し始めた。
『……っ』
全てのボタンを外し終えると腹部に舌を這わせて証を残していく。
「……ほんと死人みたいな肌の色」
そう呟いてブラのホックを器用に外し、それを上へずらした。ふくらみに手を添えておもちゃで遊ぶかのように揉んだり、摘んだり……好き放題だ。
『……ってひょ、』
ほかの女にもこんな事してるんだ。だったら私じゃなくてもいいじゃんか、なんで私の事も抱くの……?
「………黙って」
低い声で呟くと膨らみの突起を強く噛んだ。
『……やだ、っ…いたいよ』
痛すぎて涙まで出てきた。それもお構い無しにスカートに手を伸ばし、ショーツを下に下ろした。
「……濡れてんじゃん」
細くて長い指が腔内に入り、思わずてひょんの名前を呼んだ。
『……おねがい、やめて…………っあ、!』
私の願いは届かず、てひょんはぷつり……と長い指を奥へ入れ中で指を動かし始めた。
「やめてやめてって言ってる奴がここ締める?」
指で器用に腔口を広げ、私を見下ろす。……その視線だけで全て支配されるような感覚に陥ってしまう。無意識に中がきゅんと疼いてしまった。
「……淫乱野郎」
ふ、と嗤うと私を抱き上げ、普段は食卓を並べているテーブルに座らせられ、てひょんが屈んだ。そして私の足をM字に広げそこに顔を埋めた。
『……っ?!……だめ、だめだって』
「は?……舐めての間違いでしょ?」
再度嗤うと熱を持った舌で腔口をゆっくりと舐めあげた。感じたこともない感覚がビリビリと電流のように全身に流れた。
『……っぁ、てひょ…ん』
腔口に口を付け、じゅる……と厭らしい音を立てて吸いつかれた。ちゅ、ちゅ、とキスを落とすように何度も吸い付いき、ぷくりと立った陰核を潰すように舌を押し当ててそのまま上下に舐めあげられる。
『ひ、ぁ……も、いっちゃ…』
てひょんの髪を掴んで絶頂に達すると愛液を吸うように腔内に舌を入れ中を舐めまわした。
『…っだめ、いったばっか…だからっ、……あっ』
私の太腿を逃げられないように掴んで、じゅるじゅると煩い程に音を立てて愛液を吸った。
「……どろどろじゃん」
気持ちいいのに…………嬉しくない。
『……もう、やだ』
気付いたらポタポタと涙を流していた。
『私はこんなに……てひょんが好きなのに、こんな……』
………………そうだ、私はてひょんが好きなんだ。……なのにどうしてこんなことをするの?
『……好きでもない癖に、こんなことしないで…っ、!』
語尾を言い終える時には酷く唇が震えていた。
「…………好きでもない奴にこんなことしないけど」
『……?』
私の肩を押して冷たいテーブルに押し倒すと、ゆっくりと唇を合わせた。
『…さっきなんて……』
「……お前うざい、忘れて」
顔を逸らしたかと思えば、ガチャガチャと聞こえるベルトの金属音。
『……っま、』
止めようとした時には熱いてひょんのソレが腔口に擦りつけられていた。
『てひょ、お願い…やめて』
首を横に振って訴えるもてひょんの目は熱に犯されていて、私の言葉なんて耳に入っていないだろう。
「無理」
ずちゅっ、と勢いよく奥を突かれ喉が反対側へ反れる。
『……ひゃ、あ…』
逃げる私の腰を掴んで逃げられないように引き寄せた。
「……他の女抱いてる時もずっと頭ん中お前ばっか」
『…っあ、そこ……や、』
「ほんとうざい」
『……っあ、てひょ!』
そう呟くとひょいっと身体を持ち上げられて立ったまま抱っこする体位で激しく揺さぶられる。
『っん、ぁ……ほんっと、やら……っ』
縛られている両手をてひょんの首に回して落ちないようにするだけでも大変なのに、嫌でも出し入れされるてひょんのソレが気持ちよくて頭が馬鹿になりそう。
「他の女の声気持ち悪い…」
腰の動きを緩めることなく、私の目を見ながら呟く。
「お前のことずっと犯してたい」
てひょんのその言葉にきゅんと中が疼くのが分かった。
「……っは、ほんとうざ」
『や…てひょ、ひっ、あ……』
片手で私の腰を掴み、もう片方の手で太腿を掴んで上下に揺する。繋ぎ目から聞こえる厭らしい水音が嫌でも耳に響く。
「お前の身体のこと考えてほかの女抱いてたけど…っ」
『ふぁ…っ、んっ』
「もうやめる」
『……っやぁ、!』
気付いたら背中に壁があっててひょんと挟まれる状態になっていた。私の片足をてひょんの肩に乗せるとぐりぐりと中を広げるように奥へ奥へとてひょんのソレが侵入してきた。
『…あ、ぅ』
器用に壁を擦りあげられ、全身が震えた。
「……っあー、これ?好き?」
『ひゃあ…ぁ、……あっ』
「奥も好きだけど……っ、ここも好きなんだ?」
壁ばかりを中心に擦り付けていると思ったら、亀頭を使って最奥をこつんと突いてきた。
『……っんん!』
気持ちいい、もっとてひょんが欲しい、でもてひょんには他の女の人がいる、てひょんがいい、てひょんが欲しい、でもだめ、なんてぐるぐる同じような単語が私の頭の中を回る。
『…そこ、すき…っ』
「ここだけ?」
『……てひょ、もすき…すきっ』
「…………っ、」
『も、他の女の人……っ、抱かないで…ぇ、』
情けなく本音が出てしまい、そのまま倒れ込むようにてひょんの首に顔を埋めた。
「……抱かないよ」
『…………ほんと、?』
「ん…お前だけ抱く、毎日抱く」
『そ、れは……やだ』
「はぁ……お前の身体大丈夫とか気にしてた俺が馬鹿だったよ」
『……てひょん』
「お前、満更でも無さそうだし」
ひひっ、と笑うと軽く私の唇にキスを落とした。
「でも外には出してやんない、俺のだもん」
そう言って腰をガツガツと激しく動かし始めた。
『……っばかぁ……』
「好きなくせに」
『……嫌い、てひょ…なんかっ、きらい』
「俺も嫌い。……他の男と話してるお前が嫌い」
『……てひょ、』
「お前と話してる男全員ぶっ殺したい」
『…んっ、』
どくどく…と長く私の中に欲を吐き出すと、満足そうに嗤いキスを落とした。
「もちろんお前もね」
てひょんはそう言って覆いかぶさるように私を見下した。これは彼なりの嫉妬……でいいのかな、?
「死ぬほど殺してやりたい」
…………彼なりの愛情表現ということにしておこう。そう思いながら再度彼の首に自身の腕を回した。
この後てひょんに散々に抱かれたことは、言わなくても予想がつくだろう。
fin.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。