こうして見事過ぎるくらいにブラックの隙を生み出した俺は、その場からスタコラサッサと全速力で逃げ去った。いくら飛べるとは言っても、目眩しされたら探すのキツいだろ。
それに、ちょっと前にトランクスが言ってたけど、サイヤ人が誰かの気を探れるとはいえ地球人は気が弱過ぎて特定の個人の気を探るのは出来ないとのことだから、確実に大丈夫だろう。
なんとか大通りを渡って、逃げ延びた人達皆がいるところまで走った。多分だけど、ここで見つかったらもう逃げきれない気がする。同じ手は食らわないと考えた方が良いし、そもそもサイヤ人なんて言う戦闘民族に俺達地球人では太刀打ち出来ないし。
またイライラしたので再び道端に転がっていた空き缶を蹴っ飛ばしながら走った。蹴られた空き缶は思いっきり斜めに飛んで路地を飛び出していった。
なんとか走ると、遠くの方から爆発音が聞こえた。ああこれ間違いない、ブラックキレてるわ()
いくらトランクスがいるとは言っても結構ヤバいことしちゃったかもしれないな…と本能的に悟りながら走っていると、向こうの方にトランクスがいるのが見えた。
キョロキョロと辺りを見回していたが、俺が走って来ることに気付いた彼は目を点にしていた。
情報処理が追いついていないトランクスが捲し立てるように質問を羅列していったので、思わず返事に困ってしまった。す、すげぇ貫禄だな…まあブラック相手ならそうもなるか…。
だけど、ここまでの一部始終をとても信じられるとは思えない。あまりにも馬鹿げているから逆に話せない…。
むしゃくしゃして廃ビルの屋上からゴミ箱蹴り落としたら、たまたま通りかかったブラックに直撃してキレられたから、逃げるためにホースの水ぶちまけてやったとか言う話…信じてもらえんのかよ…()
いくら相手が優しいトランクスとは言っても…流石に疑うよなぁ…。でもだからと言ってどう嘘をつくべきかも分からない…真実を混ぜると現実感が増すとか言うが、そんなことを考える余裕もなかった。必死だったからだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。