トランクスside
あなたさんは「そうだな…どこから話そうかな…。」と随分悩んでいるようだった。しかし、大きく頷いたあなたさんは全てを話すと言ってここまでの顛末を話し始めた。
まず分かったのは、あなたさんがもう我慢出来ないくらいブラックとザマスに腹を立てていたこと。相当に追い詰められていたんだろう。これも俺の力不足だと申し訳なくなる。
そして1人誰にも言わずにシェルターを飛び出したあなたさんは気まぐれに廃ビルの中に入り、そこを怒りのままに荒らしながら屋上まで上がり、転がっていたゴミ箱を思いっきり蹴り飛ばしたと言うのだ。
なかなか言い出しづらいようだった。一体どんな目に遭ったと言うんだ…!?あのあなたさんがここまで話すのを渋るとは…相当な何かがあったに違いない…!!
やけに辛そうな顔をして俺の方を見たあなたさんを安心させるべく、俺は微笑んで頷いた。しかしあなたさんの表情は余計に苦しそうになるばかり。ど、どうすれば…()
あなたさんは「信じられないかもしれないけどさ…。」と小声で始めた。
………え???
思わず聞き返したが、あなたさんは「マジ」と言って頷くしかしない。想像の遥か上を行っていたので純粋に言葉を失った。開いた口が塞がらないとはこのことか。
父さんも悟空さんも全く理解できていないような顔でフリーズしているし、もう滅茶苦茶だ。しかし、あなたさんの表情を見るに事実と思うしかないようだ。
そう語り出したあなたさんによれば、なんとか廃ビルからは脱出したもののすぐにブラックに追いつかれたため、路地を利用しながら逃げ惑った挙句、ブラックを撹乱するためにホースの水をぶっ放して逃げて来たのだという。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。