どうやらあれから眠ってしまっていたらしい。エイプリルフールはもう終わってんぞ、俺は騙されねぇからな!!!
久し振りに子供達とサッカーをした疲れがまだ少し残っていてだるかった。ここは質素なシェルター、今まで家で使っていたようなフカフカのベッドなんてあるはずがないのである。
途中からトランクスも参加していたが、アイツはマジで疲れてる様子を微塵も見せない。このくらい朝飯前だとか言ってたけど、本当に大丈夫なのか…?
その時。とんでもない大きさの揺れがシェルターを襲った。
今はブラックへの怒りよりも、自分の無力さに対する怒りの方が大きかった。トランクスやパパ、悟空さんが一生懸命戦いながらも俺達を励ましてくれていると言うのに。俺は……何もできていない。
俺は神とか戦闘民族とかそう言う生き物じゃない。戦闘力なんてこれっぽっちもないただの弱い人間だ。たとえ目の前でトランクスがやられそうになっていたとしても、俺にやれることは……ない。俺が出たところで足手まといになるだけだ。
それが嫌だった。別にサイヤ人になりたいとかそんなことは言わない。ただ、俺にもトランクス達を…少しでも守ってやれるような力があったら良かったのに…。切実にそう思う。
余計なお世話だってことは分かってる。けど助けられてばかりじゃいられない。ただ守られるだけなんて、俺の仁義が許さない。トランクス達だけに無理をさせたくない。少しくらい俺を頼って欲しい…!!
色々な感情がごちゃ混ぜになって、俺は壁に八つ当たりするように殴りかかった。硬いコンクリートの壁に、情緒がおかしくなったかのように何回も拳をぶつけた。
トランクスを守ってやりたいと思う気持ち。こんな俺には何もできっこないと思う気持ち。
気付いたら、手からは血が流れ出ていた。壁にも血がついてシミのようになっていた。俺の心と同じように、手の傷口もジクジクと傷んでいた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。