しばらくの沈黙が続く。
聞こえるのは容疑者うらたくんのシャワーの音と鼻歌交じりの声だけだった。
「てかさっきのが初対面だろ」と言うと、まふまふは「そういえばそうだ」と今までに無いくらい目を見開かせる。
眉間に皺を寄せながら尋ねてくる。
ビクッ
いきなり甲高い声を出しては後ろのソファにゴロンと寝っ転がり始めたものだからびっくりした。
お前の高い声、いきなりは心臓に悪い
何かをボソボソ言ったと思ったら不貞腐れたような口ごたえをしてくる。
それからというものうらたくんが戻ってくるまで俺達は沈黙とため息を繰り返していた。
間髪入れずに俺たちは答える
容疑者うらたが戻ってきたと思えば本人はのほほんとしていて……腹立つ〜
「俺なんかした?え?は、?」
だんだんキレ気味な口調になってくるあたり、うらたくんだ。
事情を説明しようとしたらまふまふに後ろから口を塞がれた。
チラッとうらたくんの方を見ると素っ頓狂な顔をしていてなにがなんだかわからない様子だ。
いや、それは無理。断固拒否するわ。
咳払いをしてそう伝えるとうらたくんは「はぁ!!?」と少しいかりも感じるような声を出してきた。
さすが声優。声量半端ねーな。
そんなことはどうでも良くてまずはまふと作戦を立てる必要がある。
スマホをいじりはじめたうらたくんを部屋に残し俺達は部屋に行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。