あなたが建物に入ってから30分ぐらい経った。
すると、入口から共演者らしき人達がまとめて出てきた。
しかし、その中にはいくら探してもあなたはいない。
更に5分くらい待っているとあなたがおぼつかない足取りで入口から出てきた。
その顔はうかない表情で、何かに迫られているような表情でもあった。
どうしたんだ。あいつ。
俺の声に気づくと俺のところに走ってきていきなり胸に飛び込んできた。
胸に顔を埋めたまま、何も言わない。
声をききとれたと思ったらいきなり泣き出すあなた。
声を上げながら泣いているため、外にいると非常に目立つ。
あなたの頭を撫でながら落ち着かせる。
それから人通りが少ない道を通り、家へと歩いて帰った。
帰っている途中もあなたは手を繋ぎ、下を向いていた。
どうしたもんか。
何があったかは知らないが追い詰められている様子だ。
ここは兄として、…___として、助けてあげるべきか。
部屋に入ればまふまふは大きな声を上げ、驚く。
しーっと、大きな声を制止しようと指でサインをしたらまふまふは、はっ!と口元を両手で覆う。
あなたをソファーに座らせ、顔を覗き込む。
あなたは、声を抑えながらしゃくりをあげていた。
そう言って、渡したのはホットミルク。
まだ、湯気が出ていて熱そうだ。
でもあなたは器用に冷ましながら1口1口、しっかりと喉に通らせる。
あなたは、しゃくりも無くなりカップを机の上に置く。
すると
と、下を向いたまま小さな声で言った。
それはそれはとても小さな声だったが聞き逃すことは無かった。
そう言って、スマホをとり俺の部屋に行ってしまった。
自分の不甲斐なさに腹が立ってきて髪の毛をわしゃわしゃとする。
俺は、おもむろに傍にあったテレビのリモコンでテレビをつける。
2人の視線がテレビに向かう。
「では、次のニュースです。今朝、声優の○○ ○○さんが麻薬所持の疑いで逮捕されました。」
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あなたside
どうしよう。誰に頼めばいいんだろう。
この時期、みんな忙しいはず。
スマホのLINEの友達の欄を下にスクロールしながら考える。
あぁ。このままじゃダメだ。
そう思ってふと目に止まったのが____。
そのまま通話ボタンを押し、電話をかける。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!