……。…!……。
ゲームが盛り上がってきたところであなたが寝返りを起こす。
少し声が大きすぎたかもしれない。
ボリュームを気持ち少し下げた後、ゲーム画面に目をやる。
すると、ふと目に入ったコメント欄。
あ、やべ。
@hhh
今、女の子の声した!?
@gggg
あれ、女の人?
@rrrt
なんか「ん。」って聞こえた!
あの、ほんの微かな声でさえ聞こえてしまうリスナーさん、凄い。
まあ、前放送で言ったからいいか。
言っても。
@aaa
そうなんですか!
@bbb
仲、いいですね( ﹡・ᴗ・ )
@ccc
前、生放送で言ってましたね!
おお。荒れてない。
良かった、良かった。
そんなことを思ってるうちにラスボスを倒した俺。
クリアして、つい大声で叫んでしまった。
@jjj
そらるさん、声!声!www
@ttt
そらるさーん!w
@uuu
www
後ろからクッションを投げられた。
首にあたって少し痛む。
@www
妹さん…www
@ppp
大丈夫ですかwww
@ooo
ピッチャーの才能あり(
@vvv
寝ぼけてやったんですか?www
@fff
微笑ましいわ
それから少しばかり今日のゲームについての雑談をした。
そう言って配信を切った。
時計を見ると9時になっていた。
そろそろ起こしてお風呂に入らせようと思い、あなたを起こす。
ソファーに顔を突っ伏しながら寝てるあなたを揺らしながら言う。
あなたにかかってる毛布をとる。
それに観念したのかあなたが体を起こす。
伸びをしながら立ち上がり、持ってきたキャリーケースをおもむろに開ける。
そう言ってパジャマらしきスウェットと、小さな袋を持って風呂場へと向かった。
まだ寝ぼけているのか棒読み風に言った。
はあ。
毛布をかたし、開いたまま置いてあるあなたのキャリーケースを閉じようとした。
すると中に見えるのは服や化粧品だけでなく、いくつかの分厚い台本や沢山のCDがあった。
休暇を貰ったと言っていたけれどまだまだこんなに仕事あったら寝る時間もないだろうな。
あーあ、久しぶりにあなたとゲーム出来ると思って少し楽しみにしてたのにな。
「しょうがないか、」
自分にそんなことをいいきかせながらあなたのキャリーケースを閉じ、部屋へと移動させた。
俺の部屋に簡易ベッドあるから、あなたはベッドで寝かせて今日は俺がそこで寝よう。
押し入れから簡易ベッドを取りだし、広げる。
簡易ベッドと言えど、結構ふかふかしてて悪くない。
ピンポーン
家のインターホンが鳴る。
「誰だ。」と思いながら玄関へと向かう。
すると、鍵が外側から慣れた手つきで上、下へと順々に開けられていく。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。