ひとつの画面から目をそらさずに喋る2人。
何か、重々しい雰囲気。
ガチャリ
隣にいるそらるさんの視線が画面に釘付けになる。
GAME OVERの文字が画面に映し出される。
パチパチ
あなたさんはカーディガンの袖をまくり、そらるさんの隣へと座る。
おお。これぞ兄妹。
そらるさんがお兄さんやってる。
僕がぼーっとしているとそらるさんが「やるぞ?」と言い、慌ててキャラを選ぶ。
GAME START!
大きな太字で書かれた文字が映し出され、みんな視線を集中させる。
あなたさんが、僕にそう話しかける。
最初は驚いたが僕の口角も自然に上がってきて
そらるさんが慌てたような声を出すと
あなたさんが煽り、
僕が笑う。
とても、楽しい。
あなたさんがいきなりそんなことを言うと、そらるさんの画面にはGAME OVERと言う文字が映し出された。
え、はや。
強くね?と考えていると即座に僕の画面にもGAME OVERという文字が。
クスクスと笑いながら謝る彼女。
なんか、なんか。
首を傾げるそらるさんだが、あなたさんは僕を見て口角を上げ、微笑んでくる。
その微笑みはとても美しく、並びに何かを見透かされているような感じがした。
でも、僕の笑いは収まらない。
あなたさんに言われた通り、深呼吸をしてやっと収まった。
「おー!」などと、2人で声を合わせて、団結すると「おまえらなぁ。」とそらるさんがため息をつく。
このような対戦を何度も繰り返し、いつの間にか時計は12時を指していた。
お昼の話をしている時も僕らの視線は画面に釘付け。
あなたさんがゲームから目を離し、僕の方を見て挙手をする。
「あー!」あなたさんと僕が口を合わせて声を上げる。
僕とあなたさんがお昼について話している時に画面から目をそらしている間にそらるさんが、僕達を倒してしまったのだ。
僕達の画面にはGAME OVERと、映し出されていた。
誇らしげに言うそらるさんにブーイングをする。
「もー」と。渋々立ち上がる僕達。
そう言ってあなたさんはそらるさんの部屋に行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!