そらるside
「では、次のニュースです。今朝、声優の○○ ○○さんが麻薬所持の疑いで逮捕されました。」
目の前の若いアナウンサーがそう言う。
声優か……。あなたと関わりがあったりするのかな?
「また本人はこれから放映が予定され、一ノ瀬あなたさんを主役とする、アニメ〇〇〇のメインヒロインに抜擢されていましたが、担当の声は変わり、とり直すとのことです。」
「しかし、担当の声のオーディションはやらずに一ノ瀬あなたさんに選考してもらうとのことです。では、次のコーナーは……」
もしかしたら選考のことを悩んでいたのか?
それとも、この男が捕まったから?
言ってくれないと分かんねーよ。
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まふまふside
そらるさん、なんかイライラしてる?
余裕なさそう。
防音室に向かおうとしたが、一応あなたさんにこの事を伝えに行こうと思った。
ノックをして、ドアを開けようとするとあなたさんが慌てた声で止めてくる。
なんでか訳はわからないが一応謝っておこう。
その言葉を聞き、僕がしようとした事に気づき自分の顔がどんどん熱くなるのが分かる。
……。
あいつめ。あなたさんと面識あったのか……。
ドアを閉め、再び防音室へと足を進める。
今度会った時に問い詰めよう。
ドアを開けば、スマホと睨めっこしているそらるさんがいた。
画面を覗いてみるとどうやらTwitterを見ているみたいだ。
僕に謝り、スマホを机の上に置く。
流石そらるさん。
直ぐに楽譜に集中し始める。
プロだ。
そこからそらるさんの集中力は凄く、あなたさんから声がかかるまで2人で作業に没頭していた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!