背はそれほど変わってはいないが、髪が伸び前よりも綺麗になっている。
去年会ったきりで、あなたの仕事忙しかったからなかなか遊べなかったものだ。
笑顔で俺に抱きついてくる。
可愛いなオイ。
うん、そうだ。そうだよな。
あなた、25歳
俺、27歳
2歳しか違わねーじゃねーか。
背中に回してきた腕をほどき、俺の右手を握り元気に外に出る。
25歳になったにも関わらず、どこかまだ幼さは残っていてとても愛らしい。
これはモテるな。
他の男とは違って女子のようにふんわりとしたそこそこ長い髪を指に絡ませる。
ふふふと笑い、俺の髪を触ろうと背伸びをして、つま先立ちをしている。
その高さに合わせようと、少し前かがみになる。
手で優しくといてくれているのが分かる。
なんか、知り合いが知り合いにそんなことを言われているのは変な感じだ。
内心、嬉しいのは秘密。
いつも通り、元気。
でも、なんか違和感。
空元気って言うのか?無理してる気がする。
そう思って顔を覗き込んでみる。
……泣いた?
あなたの目は少し赤く腫れていて泣いたあとのような顔だった。
すると、今まで元気だったあなたが足を止め下を向く。
後半になると、あなたの声は震えていた。
震える小さな肩をそっと包み込む。
包み込んでみればあなたの体は華奢で俺の腕の中にすっぽりと収まった。
傍から見れば変な2人組なのかもしれない。
ここはたくさんの車が通る大通りの歩道。
だけど、別に恥ずかしくともなんともない。
ただ、あなたを守りたくて。
大切にしたくて。
愛しくて。
そして、彼女の耳にそっと囁く。
すると、あなたは俺の胸板をぐっとおし、体から離れてしまった。
だけどあなたの顔は泣いている顔でも悲しそうな顔でもない。
照れてる顔。
耳まで真っ赤にして、肌が白い為余計目立つ。
右手の甲で口元を隠し、ずっとそっぽを向いている。
ふふ。
ほらほらーと、あなたの腕を引く。
さっきのお返しね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!