次から次に人が押し寄せる中
カリム先輩は私の手を引っ張って
どんなメニューがあって何が人気で
何が美味しいのか丁寧に教えてくれた
その時だった
カリム先輩と手が離れてしまった
先輩の心は読むことが出来ないから
探すには目隠しを取るしかない
周りにはこんなに人がいる
勿論、こんな人混みの中で目隠しを外したことはない
カリム先輩には悪いけど好きなものをとって戻る?
いや、彼の好意を無下にするなんて出来ない
…
一瞬目隠しを外して直ぐに見つけて
かけつければいい
そしたらなんの問題もない…はず
怖い…でも、それしか方法はない…
だけど、そんな一瞬でカリム先輩が何処にいるか
見つかるはずもなかった
その代わり、僕が見つけたのは…
どうしよう、隠れなきゃ絶対に追ってくる
もう1回見てみると心做しか
こっちに歩いてくる気がした
こんな所で自分のユニーク魔法を使ったら
周りの人に押しつぶされてしまう…!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!