中に入って並ぶ机の大体 真ん中 当たりに向かい合うように羽瑠と学年主任の伊藤が座っていた。
指さされたのは羽瑠の隣の席。
坂井は学年主任の隣に座った。
椅子をひき、座れば横にいる彼の様子がおかしいことに気づく。
小刻みに震える手は抑える術がなく、ゆるく着こなしたカーディガンの袖の中に隠れている。
綺麗な黒い瞳はどこを見ているのか、焦点があっておらず、くすんでいて。
極めつけは彼の唇。血が滲み出ている。下唇を強く噛んだ時にできるあれ。
そんなことだろうと思った。
表には出ていないがオーラで感じ取れる伊藤のイラつき具合からするとここに来てから一言も言葉を発していない、というころか。
俺だって途中から入っていった身だ。
完璧に事を説明出来る訳では無いのに...。
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覚えている限り、言葉にできる限り詳しく。
そして、あなたには申し訳ないが聞いた話も少し。
そう 説明していたら午後の授業はとっくに終わり放課後になっていた。
俺が話していた間、ぴくりとも動かない彼に少しの恐怖を覚えたが彼のことは坂井が何とかしてくれるだろう。
そう思い少し遅れて部活に顔を出した。
そして次の日、羽瑠が1ヶ月程の停学処分になったことが決まったのを朝、騒いでいる女子の声で知ることになる。
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2018-09-04
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。