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第4話

勘違いしちゃうよ!
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2019/11/01 06:08


 今日の体育は、男子がサッカー、女子はソフトボールをしていた。

 私はいつも通り花満くん観察。

男子生徒1
花満はなみつ! パス!
花満周
花満周
おっけー! 任せてー!
女子生徒1
花満くーん! がんばってー!


 花満くんは見事ゴールを決め、女子の声援に満面の笑みで両手を振った。

 女子たちはライブ会場かと思うほどの黄色い声を上げる。

 そんな中、私はみんなに隠れてスマホのカメラを起動し、かわいい花満くんを写真に収めようと顔を上げた。

松葉花音
松葉花音
(もう隠し撮りはダメっ! けどっ! ジャージ姿で両手振ってるかわいい花満くんを撮らずにはいられないの!! ごめんなさい、花満くん!!)


 けど、スマホを構えた私と花満くんの目がバッチリ合ってしまう。

松葉花音
松葉花音
(ひゃぁああっ!? み、見られちゃった!!)


 私が焦ってスマホをポケットにしまうと、花満くんはウィンクをしてから、またボールを追いかけていった。

 ミルクティー色のふわふわの髪を風になびかせ、楽しそうに走っている花満くんは本当にかわいいなぁ、と私はまた見惚れてしまう。




      ベチッ




 しかし、頭を軽く叩かれた衝撃で私は現実に引き戻される。

小川美樹
こらっ! 授業にも集中せず、またカメラ起動してたなぁ?
松葉花音
松葉花音
ひっ! ご、ごめん!! 美樹みきちゃん!


 美樹ちゃんはバットを置いてベンチに戻ってくると私の隣に座った。

小川美樹
花満くんにもやめるように言われたんでしょ?
松葉花音
松葉花音
そ、そうなんだよね。今度こそ嫌われちゃうかもしれないし……。けどね、花満くんが笑顔で両手振ってたんだよ!? あのゆるっとしたジャージ姿で!! 体育の授業でしか撮れないレアショットだったの!!
小川美樹
あぁー、わかったわかった! ……けどさ、そもそも撮るの禁止されてるなら、もうレアとかないんだって。ちゃんと我慢しな?
松葉花音
松葉花音
うぅ~、……私の携帯に花満くんだけ撮れなくなるような機能をちょうだいよぉ~
小川美樹
教室戻ったら黒ペンでレンズ塗りつぶしてやるわ
松葉花音
松葉花音
美樹ちゃん!? それは本気すぎっ!! もう何も撮れなくなっちゃうよ!!
花満周
花満周
何が撮れなくなっちゃうの~?


 急に聞こえた声に振り返ると、ベンチの背もたれに両手をついた花満くんが私の顔をニヤニヤと覗き込んでいた。

松葉花音
松葉花音
は、花満くん!? あ、さ、さっきは、ごめんなさい!
花満周
花満周
あー、撮ってないんでしょ? それなら、ぜーんぜんいいよっ
田島慧人
撮る撮らないって、何の話だ?


 花満くんの隣には、彼といつも仲良く一緒にいる田島慧人たじまけいとくんがいた。

花満周
花満周
この前話したじゃん。俺の写真集が出来そうな……
松葉花音
松葉花音
あー! 花満くん、それ以上はどうか
花満周
花満周
あははっ、ごめんごめん
田島慧人
あー、あれ松葉まつばさんだったんだ。いつも真面目そうなのに、意外と大胆だな
松葉花音
松葉花音
うっ、……真面目じゃないよ。……むしろ! かわいい花満くんを見ると手が勝手に!
田島慧人
ははっ、本当に意外だな。面白いとこあるんだ
松葉花音
松葉花音
お、面白い!?
花満周
花満周
……
小川美樹
どうしたの? 花満くん


 少し不貞腐れているような表情の花満くんは、私をじっと見つめてから口を開く。

花満周
花満周
いや……、松葉ちゃんって俺以外には敬語じゃないんだなーっと思って
田島慧人
あー、俺も初めてこんなに話すけど、そうだな
松葉花音
松葉花音
えっ!? あ、ご、ごめんなさい!


 花満くんはベンチの後ろでしゃがみこみ、私を見上げて首を傾げる。

花満周
花満周
俺、そんなに話しにくい?
松葉花音
松葉花音
え、そんなことは……ないんですけど(う、上目遣い!? かわいすぎるよっ!!! あー、こんな時までかわいいとか思ってちゃだめでしょー、私!)


 花満くんに敬語になってしまうのは、憧れが高じてそうなってしまうだけで特に理由なんてない。

 けど、こんな風に悲しまれるとは思っていなかった。

田島慧人
はぁ、あんま松葉さんを困らせるなよ。もうすぐ授業終わるし、俺は先に戻ってるわ
花満周
花満周
……わかってるよ、俺も一緒に行くー。またね、松葉ちゃん、美樹ちゃん


 花満くんは立ち上がって田島くんについていき、振り返って笑顔で手を振ってくれる。

松葉花音
松葉花音
(あ、花満くん行っちゃう。このままだと、また前みたいに戻っちゃう? せっかくお話しできるようになったのに……)
松葉花音
松葉花音
は、花満くん!
花満周
花満周
あ、気にしなくて大丈夫だよ! またお昼にお菓子交換しようねー!
松葉花音
松葉花音
う、……うん!! きょ、今日は、花満くんが、す、好きな……甘いお菓子、だから……!


 不自然なくらいどもりながら精一杯いつも通りに返事をすると、花満くんはこちらに駆け寄ってきて頭をふんわりと撫でてくれる。

花満周
花満周
ありがとうっ! 松葉ちゃん!


 そのまま花満くんは手で口元を隠して私に耳打する。

花満周
花満周
慧人けいととは普通に話してるの見て、少し嫉妬しちゃった。ごめんね?




   ドキッ ドキッ ドキッ



松葉花音
松葉花音
……あ、う、うぅん
花満周
花満周
じゃあ、またね


 花満くんは走って田島くんを追いかけていき、その時、授業終了の鐘が鳴った。

 けど、鐘の音なんて聞こえないくらい鼓動がうるさくて、頭の中では「嫉妬しちゃった」という言葉が繰り返し流れていく。

松葉花音
松葉花音
(あ、あんなの、かわいい花満くんじゃない。……だって、こんなに胸がうるさい事なんて今までなかったのに。どうしよう、本当に勘違いしちゃいそうだよ)
小川美樹
花満くんだって花音かのん以外は名前にちゃん付けだけど、気づいてないのかねー?
松葉花音
松葉花音
(けど、花満くんが私と話すようになったのは、きっと写真撮るのをやめさせるため! 変な勘違いダメだよ!!)
小川美樹
ん? ちょっと聞いてるー? かのーん?
松葉花音
松葉花音
(きっとあれは……なに!? わかんないよ!?)
小川美樹
だめだこりゃー。教室戻ってるからねー