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第10話

全部好き!
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2019/12/12 09:41


 放課後の教室で1人、私は花満くんを待っていた。

松葉花音
松葉花音
(荒牧先生に呼び出されたって言ってたけど、何かあったのかな?)


 そんなことを考えながら、久しぶりに花フォルダーの花満くんの写真を眺めていた。

 撮るのは止められたけど、今までの写真を消さなくてもいいと言われ、いまだに私の携帯には花満くんの写真が残っている。

松葉花音
松葉花音
(本当にこの頃は花満くんの笑顔を撮るのが毎日楽しみだったなぁ)
松葉花音
松葉花音
(けど、最近は撮りたいって衝動がないかも? ……それより今は、花満くんのそばに――)
女子生徒1
あれー? 松葉さんまだ帰ってなかったんだ
女子生徒2
まさかぁ、花満くんまってるのぉー?


 クラス内でも特に派手であまり話したことのない二人に話しかけられ、緊張で体が強張ってしまう。

 けど、今携帯に映っている花フォルダーは、絶対に見られてはいけないと思い机に伏せた。

松葉花音
松葉花音
う、うん。一緒に帰る約束をしたの
女子生徒1
……へぇ~、最近2人仲いいよねー
女子生徒2
ねぇー、ホント似合わなーい!
松葉花音
松葉花音
え? ……あ、そう、だよね。私も、……そうおも――




         ガチャンッ!!




 話し終える前に髪の毛を掴まれ、思い切り引っ張られて私は椅子から落ちた。

女子生徒1
わかってるんだったら、わきまえてよ
女子生徒2
もしかして、連絡先とかも交換しちゃってるのぉ? 消しちゃおっかなー
松葉花音
松葉花音
え!? ま、まって!!


 私の言葉なんてきいてもらえず、その子は私の携帯を見てあざ笑うような視線を向けてきた。

女子生徒1
やっば! これ全部花満くんの写真じゃん! 量ハンパないし、全部盗撮っぽいんだけど
女子生徒2
えぇ~、松葉さんこんな趣味あったんだぁ
松葉花音
松葉花音
……
女子生徒1
なに? これで花満くん脅してたの?
松葉花音
松葉花音
……そんなこと
女子生徒2
うそぉ~、大人しそうな顔してホントはそういうことしてそぉ~


 私がいけないことをしていたのは事実で、言い返すことも否定することもできない。

 花満くんが特別だっただけで、非難されるのが普通だもんね。

女子生徒1
盗撮して脅してたなんて言いふらしたら、松葉さん学校来れなくなっちゃうねー?
松葉花音
松葉花音
……え、あの……
女子生徒2
嫌だったらぁ、もう花満くんと関わらないで?
松葉花音
松葉花音
……
女子生徒1
返事は!?
花満周
花満周
嫌でーす
松葉花音
松葉花音
へ?


 花満くんは走ってきたようで肩で息をしながら教室に入ってきた。

花満周
花満周
そんな大声で話してたら、廊下に響いて下の階まで聞こえちゃうよ?
女子生徒1
は、花満くん。これは、松葉さんが迷惑なことしてると思ってね


 花満くんは私を守るように前に立ち、二人と向き合って話してくれる。

花満周
花満周
そ? けど、写真撮ってって頼んだのは俺なんだよねー! だから、2人の勘違い!
女子生徒2
え? 何言ってるの? なんでそんなに庇うような――
花満周
花満周
あー、もういいからさ! どっかいってくんない? 本当はぶん殴りたいくらいムカついてるんだよね。また松葉ちゃんをいじめたら容赦しないから


 さっきまで穏やかだった声は今までにないくらい低く、怒りがあらわに出ていた。

 2人はそんな花満くんを見て顔を真っ青にし、何も言わずに教室を出ていく。



 花満くんはこちらを振り向き慌ててしゃがむと、私をギュッと力強く抱きしめてくれる。

花満周
花満周
ごめん。本当に……
松葉花音
松葉花音
え!? 花満くんのせいじゃないよ!! ……助けてくれて、ありがとう
花満周
花満周
ちがう、俺のせいだ。もっと気を付ければ……


 花満くんの声は少し震えていて、ポツッという小さな音とともに肩が少し濡れた気がする。

松葉花音
松葉花音
(花満くん、泣いてるのかな)
花満周
花満周
次、あんなことがあったら、すぐに呼んでね……
松葉花音
松葉花音
うん、わかった
花満周
花満周
俺に気を遣って話さないとかなしだよ
松葉花音
松葉花音
うん、相談するね
花満周
花満周
無理して明るく振る舞ったりしないでね
松葉花音
松葉花音
うん、大丈夫!
花満周
花満周
大丈夫じゃないよ。手、震えてる


 そう言われてやっと、花満くんの背に回していた自分の手が震えていることに気が付いた。

 ジワリと目に涙が溜まり、零れ落ちる。

松葉花音
松葉花音
や、やっぱり、怖かった、かも
花満周
花満周
うん。もう安心して、俺がそばにいるから




 安心できたせいか訳が分からないほど涙が溢れ、私は花満くんの腕の中で声を上げて泣いた。







花満周
花満周
落ち着いた? 暗くなるし、そろそろ帰ろっか
松葉花音
松葉花音
うん


 私の顔を覗き込む花満くんは穏やかな表情をしていて、少しいつもとは違う大人っぽさを感じる。

 しかし、私がボーッとそんな花満くんを見ていると、自分の手で頬を引っ張り始めた。

松葉花音
松葉花音
え? は、花満くん?
花満周
花満周
あー、俺まだダメかも。うまく笑えないや
松葉花音
松葉花音
笑えない? なんで?
花満周
花満周
怒りがおさまらない! けど、松葉ちゃんの前では笑顔でいたいのに
松葉花音
松葉花音
ふふ、ありがとう。けど、無表情っぽい花満くんも新鮮でいいと思うよ
花満周
花満周
えー、かわいくないからだめー


 そう言って花満くんは頬をムニムニとマッサージするように揉み始める。

松葉花音
松葉花音
(そんな姿もかわいいのに。……けど)
松葉花音
松葉花音
私、かわいい花満くんが好き……だった!
松葉花音
松葉花音
けど、今は少し違うの。たまに男の子みたいにかっこいいところも、名前の呼び方で嫉妬しちゃうところも、わざとかわいく振る舞うところも、すごく気遣ってくれるところも、私のために泣いてくれるところも、それから、……幼馴染さんを思い出して後悔してる優しいところも、全部好き!
花満周
花満周
それ、かっこ悪いところの方が多くない?
松葉花音
松葉花音
だって、全部好きだから!
花満周
花満周
はは、そっか! 俺も松葉ちゃんのぜーんぶが好きだよ!


 私が笑顔で気持ちを伝えると、花満くんも自然と笑みがこぼれていた。

松葉花音
松葉花音
だからね、今日花満くんが私を助けてくれたみたいに、あたしも花満くんの力になりたい。あたしなんかじゃダメかもしれないけど、花満くんが悲しんでたり困ってたりしたら支えたいの! ……力になれなくても、そばにいたい
花満周
花満周
ダメなわけないじゃん! 俺が笑えるのは松葉ちゃんのおかげ! ありがとうね


 花満くんは手を繋ぐと急に引き寄せ、私は彼の胸に倒れ込んでしまう。

 その隙をついて耳に唇を寄せ囁かれる。

花満周
花満周
俺も松葉ちゃんから離れる気ないから、覚悟してね?
松葉花音
松葉花音
う、うん!