私のクラスには、花のように可愛く明るい笑顔で大人気の男の子がいる。
教室で友達と2人でお昼ご飯を食べていると、後ろからひょこっと花満くんが顔をのぞかせた。
ゆるく首を傾げて、にぱーっと明るい笑顔を見せてくれる花満くんに、私の思考はもうお菓子どころではなかった。
一人の女の子が花満くんの腕を引いて後ろの席へと連れて行ってしまった。
私がその後ろ姿をボーっと眺めていると、一緒にご飯を食べていた友達が呆れた声を出した。
花満くんはまた後ろからひょっこりと現れ、ニコニコと話に混ざってきた。
花満くんはそう言って、私に小包装のクッキーが2つくれた。
花満くんは嬉しそうに笑うとさっきの子たちの席へと戻っていった。
私はニヤけてしまいそうな顔を精一杯引き締めて、美樹ちゃんを見た。
この時の私は、可愛いクラスの人気者の1ファンというだけだった。
花満くんが告白されている現場を写真に撮ってしまうまでは。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。