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第2話

あの時……あの日に戻れるのならば
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2020/08/13 04:47
私は、幼い頃から施設に入っていました。

けれど、みんなとは違ってちょくちょく帰れていたので不満は特にありませんでした。

家に帰ったところで、お父さんがお酒を飲んでいていつ暴れ出すか分からないので怯えて過ごすしかなかったですから……まだ施設で過ごしていた方がマシでした。

それでも、お母さんを1人にする訳にもいかず家に帰るのは決まりみたいなものになっていきました。

私は、直接お父さんから暴力を振られたことは1度も……いや……最近は無くなりました。

だって……次に警察にお世話になったらお父さんは、逮捕されちゃうから……

虐待なんて尚更ですもの……

ろくに働きもしないで、お酒ばかり飲んで。お母さんに暴力振るってなんで……あんなのが生きているのかって何度も何度も考えたりもしました。

あいつを殺してやろうか!!!!!何度思ったことか……

でも……私には、そんなことできないんです。
だって弱虫だから……

包丁を持ったところで足がすくんで動けなくなるくらいですから……

考えるだけなら自由ですから……

私は、脳内で何度も何度も何度もお父さんを殺しました。

あんなのが生きてて得なんて何も無いのに!

あぁ……誰か殺してくれないかなぁー。

私の父と母が出会ったのは、ある地下道だったそうです。

どうやら、お父さんは、実家でも働かず食っちゃ寝していたらしく、追い出されたみたいです。

行き場のない父は、この町に来たみたいです。

お金もなく、この町に知り合いもいない父は、ある地下道でダンボールと新聞にくるまり過ごしていたそうです。

そこで、出会ったのが父と母は出会ったと言います。

もし、その時母が父を連れて帰らなかったら……私は生まれなかったし、母は暴力を振るわれることなく普通に過ごせたのに……

あぁ……あの時……あの日に戻れるのならば、引き合わせないようにしただろう……

戻れたらいいのに!!!!!
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読んでくださってありがとうございます。

By無名0824

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