第49話

「治せるなら」
2,135
2022/11/13 12:22
「あっ、……と、」


なんて言おう、なんて誤魔化そう。

嘘はつきたくない。


「だから、何の話だ?」


焦凍がもう一度俺に問う。


「俺の、個性の話なんだけど…」


俺は焦凍に一通り説明する。

すると何を思ったのか焦凍は"俺も聞きたい"とか言い出した。

やめろください。


「やー…、ほら別によくね?治される方は別に何のリスクもねぇよ。」

「お前にはあんのな。」


「!…そんな事言ってねぇだろ」

「じゃあねぇのか?」


考える暇を与えてくれない。

誤魔化そうとすればする程、正解に近付いて行ってる気がする。

まさに、あー言えばこー言うって感じ。

「誤魔化すんじゃねぇよ。てめぇにリスクがあんなら俺にその個性使わねぇって誓えや。」

「っは??」


「俺も、あなたに何かリスクがあるなら使って欲しくねぇ。」


し、焦凍まで……。

何で??上鳴の腕みたいに綺麗に治るよ?


「……リカバリーガールに聞きゃ分かんのか。」

「あーーーーもう分かったよ!!!」


言う言う言いますから!!勘弁しろ下さい!!

なんだよこのくそバーーーカ!!!



俺は大人しく治す方の個性の説明をした。


「…って感じなんだけど、他の皆には言うなよ?」

「んでそんなに隠したがるんだよ。」



「………ぃから。」


「あ”??」



「カッコ悪ぃからだよ!!!!バカ!!」


「んだとてめぇ!!」


「落ち着け爆豪。」


「あ”ぁ?何だ半分野郎てめぇどの立場からモノ言ってんだ!?!」


「あなたの幼馴染としてだ。」



「あーーもう俺が悪かったすまんかった。2人共落ち着け。」



カッコ悪ぃ俺の秘密を聞き出され、最悪の気分なのに何故俺が2人を宥めんといかんのだ。


「…っち、今後俺にその個性使うんじゃねぇぞ」

「いーやーでーーす。」

「あ”ぁ?」


「そんなに凄まれても嫌でーす。」


だって俺が治せるのに治さねぇ理由はねえ。

俺が良い奴判定した奴はどんな奴であれ治せるのなら治す。


「あなた、俺も使って欲しくねぇ。」

「焦凍でも嫌でーす。」


「……俺のせいであなたが痛てぇのは、嫌だ。」

「良い奴かよ。知らねぇよ、俺が治せる奴が目の前にいんのに治さねぇ方が嫌だろ。」


焦凍は少しビックリした顔する。

あれ、俺そんな嫌な奴のイメージ?


アッ…焦凍クン的にはそーかも。そうだね。ごめん






「俺が大切にしてぇ奴が傷付いてんなら治す。異論は認めねぇ。さ、帰ろーぜ?」



不服そうな爆豪らと共に帰路に着く。

プリ小説オーディオドラマ