「あっ、……と、」
なんて言おう、なんて誤魔化そう。
嘘はつきたくない。
「だから、何の話だ?」
焦凍がもう一度俺に問う。
「俺の、個性の話なんだけど…」
俺は焦凍に一通り説明する。
すると何を思ったのか焦凍は"俺も聞きたい"とか言い出した。
やめろください。
「やー…、ほら別によくね?治される方は別に何のリスクもねぇよ。」
「お前にはあんのな。」
「!…そんな事言ってねぇだろ」
「じゃあねぇのか?」
考える暇を与えてくれない。
誤魔化そうとすればする程、正解に近付いて行ってる気がする。
まさに、あー言えばこー言うって感じ。
「誤魔化すんじゃねぇよ。てめぇにリスクがあんなら俺にその個性使わねぇって誓えや。」
「っは??」
「俺も、あなたに何かリスクがあるなら使って欲しくねぇ。」
し、焦凍まで……。
何で??上鳴の腕みたいに綺麗に治るよ?
「……リカバリーガールに聞きゃ分かんのか。」
「あーーーーもう分かったよ!!!」
言う言う言いますから!!勘弁しろ下さい!!
なんだよこのくそバーーーカ!!!
俺は大人しく治す方の個性の説明をした。
「…って感じなんだけど、他の皆には言うなよ?」
「んでそんなに隠したがるんだよ。」
「………ぃから。」
「あ”??」
「カッコ悪ぃからだよ!!!!バカ!!」
「んだとてめぇ!!」
「落ち着け爆豪。」
「あ”ぁ?何だ半分野郎てめぇどの立場からモノ言ってんだ!?!」
「あなたの幼馴染としてだ。」
「あーーもう俺が悪かったすまんかった。2人共落ち着け。」
カッコ悪ぃ俺の秘密を聞き出され、最悪の気分なのに何故俺が2人を宥めんといかんのだ。
「…っち、今後俺にその個性使うんじゃねぇぞ」
「いーやーでーーす。」
「あ”ぁ?」
「そんなに凄まれても嫌でーす。」
だって俺が治せるのに治さねぇ理由はねえ。
俺が良い奴判定した奴はどんな奴であれ治せるのなら治す。
「あなた、俺も使って欲しくねぇ。」
「焦凍でも嫌でーす。」
「……俺のせいであなたが痛てぇのは、嫌だ。」
「良い奴かよ。知らねぇよ、俺が治せる奴が目の前にいんのに治さねぇ方が嫌だろ。」
焦凍は少しビックリした顔する。
あれ、俺そんな嫌な奴のイメージ?
アッ…焦凍クン的にはそーかも。そうだね。ごめん
「俺が大切にしてぇ奴が傷付いてんなら治す。異論は認めねぇ。さ、帰ろーぜ?」
不服そうな爆豪らと共に帰路に着く。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。