第52話

「笑えない話」
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2022/11/13 13:02
「そんじゃ…話すな?


って、そんな身構えなくても…今考えたら大した理由じゃねぇんだ。


当時はそれが何より大切な事みてぇに思ったけどな。


俺の親父がエンデヴァーなのは知ってるよな?


あの親父とお母さんが個性婚だったのも。



…って、言ってなかったか?

嫌いなのだけが雰囲気で伝わってただけ…か、なんか悪ぃな。


まぁそれはおいおい説明する。今は割愛するな。


それで…俺も、小さい頃は親父が修行だ特訓だなんだ__って、同年代の友達なんていなかった。


唯一、俺と遊んでくれてたのがあなただ。


……あなたも…、俺だけだったのか?



お互いが唯一無二だったんだな。

それなのに……、って今はいい。


俺がお母さんや姉さんにあなたの事を話すのが親父は気に入らなかったのか、遊びに行くのを必要以上に引き止めた。



"遊ぶ暇があるなら少しでも経験を積め。"


あの頃はよく言われてた。

それでも俺はあなたを諦めたくなかった。


お前と遊びたかったし、一緒にいたかった。



……照れる要素があったか?

…悪ぃ。いや、なんか怒ってるから…。


怒ってねぇ?なら良かった。



兎に角、俺はあなたに会いに行くことをやめなかった。


…そんなある日、この火傷を負った日。

俺は煮え湯をかけられて、お母さんは病院へ入院した。


その日に親父に言われたんだ。


"そのあなたって小僧もお前と関わるとろくな事にならんぞ。今のうちに縁でもなんでも切っておけ"


ってな。


その言葉で、俺は焦った。


お母さんの事は俺のせい。

加えてあなたに何かあったら?


怖かったんだ。


皆、俺のせいで不幸になるのかと思った。




……だから、あの日あんな事を言った。


俺が距離を置くべきだと思ったんだ。




傷付けないように立ち回った筈なのに傷付けてんだから何の意味も無かったけどな。


笑えねぇ話だろ。」

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