教室に入ると教室の中央辺りに人混みができていた。何故か女子の率がかなり高かった。
その様子を横目に座席表に向かっていく。
嬉しそうにはしゃいでいる涼海さんをなんと反応を返していいかわからず私は先に席に向かうことにした。
近付いていくとどうやら1つの席に女子が集まっているみたいだった。しかもその席は、私の席の後ろの辺り...
女子の間を抜けながら席にたどり着く。
席に座ると先生が来たのかササッと人が引いていくのを確認した。...どうせなら席に着く前にいなくなっていてくれれば助かったのだが。
ぼぅっと教卓の方を眺めていると後ろからつんつんと肩をつつかれる。しばらく無視を決め込んでいたが止めてくれる気配がなかったので私は若干イラッとしながらそれを表情に出さないように後ろを向いた。
そう言うとにこりと笑顔を向けてくる少年に私はなぜだか違和感を感じてしまう。こんなにもパーフェクトな笑顔なのにどこか違った。
軽く頭を下げると私は再度前を向こうとする。
予想外といった表情をして苦笑いで再度話しかけてくる少年に私はため息をつくと口を開く。
かなり嫌そうな顔をしているとなんとなく話が途切れる気配がしたのか染谷くんが話しかけてくる。
俯きがちにそうつぶやく私を見て染谷くんは一瞬表情を強ばらせたかと見えたがすぐに先程の笑顔になった。
...変な人。
まぁ、普通に過ごしていればほとんど接することもないだろう。そう、私は思っていた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。