第10話

バレンタイン2
368
2021/01/03 10:38
鈴宮ふゆ
鈴宮ふゆ
さすが、アイドル…
帰宅の途中にぽつり、と呟く。まさか放課後まであんな騒ぎになっているとは思わなかった。ひよりちゃんは帰りのHRが終わるとバイトがあると先に帰ってしまったので私1人の下校だ。
鈴宮ふゆ
鈴宮ふゆ
…これ、結局渡せなかったな
鞄の中にはあと2つのチョコレートが入っていた。黄色と青のラッピングに2色の花が添えられている小さな、チョコレート。
…あの2人に、渡す予定だったはずのもの。
鈴宮ふゆ
鈴宮ふゆ
…まぁ、たくさん貰ってたし、私から貰わなくたって
少し寂しい気持ちになったが1個くらいなくたって対して変わらないだろう。…あんなに、たくさんの女子から貰っていたのだ。そう考えていると、この前のお母さんの言葉が心に過った。
「なにごとも愛情が大事なのよ。」
鈴宮ふゆ
鈴宮ふゆ
…愛情
…私は、どんな想いでこのチョコレートを作ったのだろう。あの2人にも喜んで、欲しくて。感謝を伝えたくて。ただ、それだけしか考えていなかった。あのに、渡さなくていいのだろうか。
鈴宮ふゆ
鈴宮ふゆ
……仕方ない
私は、今来た道を反対方向、スタジオへと向かうのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夜ーー…
染谷勇次郎
染谷勇次郎
お疲れ様です!
柴崎愛蔵
柴崎愛蔵
ありがとうございました!
仕事が終わり、LIP×LIPの2人がスタジオから出てくる。
染谷勇次郎
染谷勇次郎
…疲れた
柴崎愛蔵
柴崎愛蔵
あぁ…
楽屋の扉に手をかけ中に入ると、そこに1人の人物がいることに気がつく。
柴崎愛蔵
柴崎愛蔵
…涼宮?
染谷勇次郎
染谷勇次郎
なにしてんの、ここで
椅子からゆっくりと立つと鞄を持って2人の前に移動する。そして、
涼宮ふゆ(バレンタイン)
涼宮ふゆ(バレンタイン)
これ、
す、と2人にチョコレートの包みを差し出す。その行為に一瞬2人が目を見開く。
柴崎愛蔵
柴崎愛蔵
…これ、チョコ?
涼宮ふゆ(バレンタイン)
涼宮ふゆ(バレンタイン)
…バレンタイン、の
染谷勇次郎
染谷勇次郎
…いや、そもそもなんで楽屋に
涼宮ふゆ(バレンタイン)
涼宮ふゆ(バレンタイン)
……スタッフさんに、入れてもらったの。私も、一応、アイドルでしょ、?
そう。通常の女子なら楽屋に入るなどほぼ不可能だ。だけど、私は一応芸能事務所に所属していた。そのため少しの説明は必要だったがスムーズに入ることが出来た。
涼宮ふゆ(バレンタイン)
涼宮ふゆ(バレンタイン)
…2人に、作ったから、あげる
少し頬を赤らめながらも言葉を伝える。
最初はびっくりしたような表情を浮かべていた2人だがクッと急に笑い出す。私は少しびっくりして顔を上げる。
柴崎愛蔵
柴崎愛蔵
いや、チョコレートにしても、楽屋まで入ってくるか?普通……っ
染谷勇次郎
染谷勇次郎
度胸があるって言うか、なんというか……
口を抑えながら可笑しそうに笑う2人を見て急激に恥ずかしくなる。頬を膨らませながらそっぽをむく。
鈴宮ふゆ
鈴宮ふゆ
そ、そんなに笑わなくても
しばらくの間可笑しそうに笑っていた2人だがふと、頭に手を乗せてきた。
柴崎愛蔵
柴崎愛蔵
…ありがとな
染谷勇次郎
染谷勇次郎
ありがとう、…涼宮
それは、学校での笑顔とは違う、2人の本当の微笑みなような気がした。
鈴宮ふゆ
鈴宮ふゆ
…うん、どういたしまして
その2人の笑顔が何故かとても嬉しくて、気付いたら私も笑っていて。
そんな、幸せなバレンタインは過ぎていったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
番外編・バレンタイン見ていただきありがとうございました!

深夜に思いついて書いたものなので文章等がごっちゃになってる可能性もありますが楽しく書くことが出来ました。

本編もそろそろあげたいと思っているので見ていただけると嬉しいです!

プリ小説オーディオドラマ