チョコレートの箱を渡される。少し封が空いているのか中からほんのりとチョコレートの匂いがただよってくる。
ほわっと頬を緩めると箱を開け1つ、口に入れる。
もごもごと口を動かすと中からジュレっぽいものが出てくる。
不思議そうに私を眺めるひよりを見ながら私は更にチョコレートを口に運ぶ。なんだかふわふわとした気持ちになってくる。
私の顔を心配そうに覗き込んでくるひよりを見て私は目元を緩ませて笑いかけた。反則的なまでの笑顔で。
急な変化に追いつけないのかおろおろと私を見るひよりを見て私はなんとなく可愛いなーと思いひよりの髪を触り始める。あわあわと顔を赤くして慌てているひよりをぼんやりと眺める。
ふと、頭に誰かの手が置かれた。手はひよりの頭に置きながら顔だけを少しあげる。そこには、染谷くんが立っていた。訝しげな表情で私を見ている。
染谷くんの顔をじーっと見つめるとそっと染谷くんの手に自分の手を重ねる。
ふにゃふにゃと呂律の回らない言葉が口から溢れ出る。自分でも、制御が効かない。
顔を軽く赤く染めながら後ずさりする染谷くんを見ながら私はぎゅっと手を握る力を強くする。
どうして、こんな言葉が漏れ出してくるんだろう。自分でもわからない。ただ、ふわふわとしてとても、いい気持ちだった。もう一個チョコレートを取ろうとした時箱を上から取り上げられる。
上を向くと渋い顔をした柴崎くんがいた。チョコレートを1つ摘むと匂いを嗅ぐ。
申し訳なさそうな顔でこちらを見てくるひよりを見て私はにこっと笑う。
そのままひよりの顔に自分の顔を近づけていく。
おどおどと顔を赤くしながら言ってくるひよりがなんでかとても可愛く感じて私は気がついたらとんでもないことを口走っていた。
そのままひよりの唇に自らの唇を近づけていく。
ひよりは逃げようとしているが肩を押さえているため逃げることは叶わない。
あと少しで、というところで私は柴崎くんによって捕獲される。
はぁ、と染谷くんが苦々しい顔でため息をついているのが見えて私は頬をふくらませた。
ひよりは何が何だかわからないようで目を回していた。私はゆっくりとひよりの肩から手を離すと机の上にうつ伏せる。
そのまま私は意識を手放す。少しアルコールのような香りがしたような気がした。
そんな会話がされていたことなど既に意識を手放していた私は気がつくことなどなかったのである。
(セコムがついてしまったのはまた別のお話)
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久しぶりの投稿です!
今回のお話は番外編ですが百合要素+ご都合主義を含むお話なので苦手な方はバックをおすすめします。
悲報ですが本文を書きためていたデータが消えてしまいましたので更に投稿が遅れる可能性がございます…すみません泣
酔った女の子のお話を前から書いてみたかったのですごく楽しく書けました!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。