第44話

帰宅して味合うのは血の味。 ※微流血表現
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2021/06/17 12:46


























体育祭も無事終わりを迎え、疲れ果てた皆は家路を辿る。先生である私もテントの片付けをしたあとすぐに解散ということだったので帰り支度をして家に帰る。そろそろ冬も近づいてきたので5時だというのにもう空は暗くなり始めている。昼はあんなに暑かったのに今ではガラッと変わり涼しい風が肌を撫でる。そろそろ修学旅行とかの準備もしないとなーなんて思っていればあっという間に家。

あなた
あー疲れた…今日のご飯なんだろ…
カラカラと玄関の扉を開ける。



あなた
ただいmッケホッゲホッ…?!
あなた
だ、だれか…ッッゲホッゴホッ


家の中に入ろうとしたその時だった。油断しきっていた時だった。咳が出てきて慌てて手で口を抑える。収まることのない咳に苦しくってその場にしゃがみこんでしまう。
玄関の扉が開いたのにリビングに入らない私が心配になったのか、綾芽が顔を覗かせて此方を見つけると慌てた足取りで近寄ってくる。


姫宮 綾芽
姐さんっ?!?!
あなた
あやっ…、めっ…ゲホッ、ぐす、りっ…!
姫宮 綾芽
わ、わかりました…っ!



私がそう伝えるとまた慌てた足取りで戻って行く。呼吸を整えていれば喉からこみ上げるドロドロとした不快な匂いと味。思わずまたそれに咳き込んでしまっては手が赤く染まる。赤い液体が手を伝って一滴、また一滴と床へ溢れていく。こんなことは初めてだった。咳き込むことは時々あったがここまで酷くはない。




ドタドタと足音がしてこちらを見るその目は驚きと恐怖の目。手には薬と水。ハッとして我に返ってきては綾芽は玄関の靴入れの上に置いては私を肩で支えながら水道へと連れて行ってくれる。お爺ちゃんも顔を覗かせては驚いた表情を浮かべている。
身体が怠い。体育祭の疲れだろうか、負担がどっと押し寄せてきたのだろうか。
それとも………………。




































口の中に広がる血を水で洗っていく。何度も、何度も。
何度も洗ううちに血の味は薄れていき段々浄水の味に変わっていく。でも浄水の味はあまり好まないが仕方ない。咳も落ち着いてきたのでカプセル型の薬を水で口の中に流し込む。水が喉に刺さるように痛い。咽すぎた。





あなた
ふぅ……あ、ありがとう綾芽、心配、させたね
姫宮 綾芽
ね、姐さん大丈夫ですか…?
あなた
あ、あぁ…っははw今日は沢山声出したりしたからねぇ…意外と身体に負担があったみたいだw
姫宮 綾芽
……………姐さん、もしかして…
あなた
……あはは…w時間は有限だよ。楽しまなきゃ、ねっ?
姫宮 綾芽
っ…はい!
おじいちゃん
とにかく今日はもう寝なさい…明日はお休みなんだから…
あなた
うん、ありがとうお爺ちゃん。























お爺ちゃんと綾芽におやすみと告げては大人しく床に入る。食欲は無かった。修学旅行のこととか考えていたけれど疲れですぐに眠気にやってきた。目を瞑って、明日の朝ご飯食べて…それから……。






















主コメはコメント欄にて。

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