長いようで短かった体育祭もこの競技で幕を閉じる。最後はクラス別対抗リレー。出場するのはゾム、コネシマ、ばどきょー、トントンの四人。体力自慢をリレー選手にした為此奴らに勝つには相当な体力と速さがいると他クラスの出場選手皆そう思った。
だがメリットだけではない、先程ソーラン節で沢山汗をかいて体力が削られたゾム、応援団として声を張り続けたトントンの二人が居る。これをチャンスと思う人もちらほら見受けられる。
これを不利と思ったのかコネシマが提案をする。
コネシマのお陰で新しく効率的な並びに変えたことでゾムとトントンの体力を少しでも回復できる順番になった。コネシマとトントンは校庭の反対側へと移動し準備をする。走る距離は校庭半周、凡そ100メートル。
赤い鉢巻をキュッと結び直し赤いバトンを持ってスタート位置に立つ。走るレーンは内周よりも距離が長い外周、だがこれをハンデと受け取ってしまえばこれで勝てば格好良いと思いクラウチングスタートの体制を取り始める。その澄んだ海のような水色の目には勝利が見えていることだろう。
パン!と聞き慣れてきた空砲が放たれる。耳にその音が届いた瞬間地を蹴り砂埃をあまり立てずにスタートダッシュを決める。つま先で地面を跳ねるように蹴っているため砂埃はあまり立たないようだ。序盤から順調、後の走者も普通の人からしたら早いほうだがコネシマとの差は開いていく一方。もうすぐバトンを渡すというところで練習で身につけた方法で合図を出す。
大きな声でゴーゴーと言いばどきょーに合図を出したところでばどきょーも走り始める。コネシマから近かった応援席の人達の耳が心配だ()
なるべくコネシマが追いつける早さで走ってはそのバトンをしっかりと受け取る。コネシマは自分の役目を終え渡してからレーンを外れ息を切らし地面に寝転ぶ。砂が付くとか関係ない、途中ゾムに心配されつつもしっかりと呼吸して回復させる。そして後ろの走者に健闘を祈る。
一方ばどきょーはコネシマから受け継がれた後ろの走者と大きく開いた距離を更に開いていく。らっだぁからはデブとかと言われることも多々あるが実際彼は動ける、体力に自身もある為差をあまり縮めさせないままトントンにバトンを渡すところまで走り切る。
息ぴったりでバトンを渡してはトントンも本気で走る。こっちも息が切れたばどきょーは少し回復し動けるようになったコネシマに肩を支えられながらその場に座り込む。流石ですわ!と言いながら楽しそうに笑みを浮かべている。
いつもの赤いマフラーとは違い、赤い鉢巻を風に靡かせ走っていく。体力は当初より減っているがコネシマらのお陰で大分回復できたようで、それを使い果たすようにアンカーのゾムへ向かっていく。
ゾムに呼びかければ今まで体力をかなり削る競技に出ていたのかと疑うくらいの元気な返事をし、これが漫画だったらパシッと効果音が描かれていると思うくらいにバトンを受け取って軽快なステップで走り始める。
汗を掻きつつも楽しそうに走る、正に顔面国宝。女子達はこの姿に更に惚れることだろう。我々だとら運営にはイケメンしかいないのか。
順調とも思われたが何人も走った地面の砂は滑りやすくなっていて足の動きに地面が追いつかずそこで体制を崩し結構な早さで走っていたのもあってか派手に転んでしまう。膝を擦りむいたがそんなことヤンキーにとって日常茶飯事、慣れた痛みは余り感じることなくすぐに体制を立て直しまた走り始める。先程よりかはスピードは落ちたが皆が開いてくれた差のおかげで抜かされることもなく、それに走る距離の3/4を既に走っていたので見事な差をつけ堂々の一位でゴールする。
ゴールテープを切っては大きく手を上に上げ満面の笑みを浮かべる。そこに他の三人も集まっては楽しそうに話し始める。
かなりの差をつけ順々に他チームもゴールする。何人かゾムが転けたことを心配したが元気に振る舞うのでこれは勝てないわ!と満場一致で笑いが起きる。
結果は勿論1組優勝、得点が赤組の総合得点に加算される。それぞれの色の組が何点なのか終盤から隠されていたので分からないが、赤組は結構な点を取っていることを誰もが確信を持っていた。
少しの休憩の後、閉会式の体型に並ぶ。校長の話、PTA会長の話、長々とした話は割愛する。皆あんま聞いてないし興味無いでしょ?(主の偏見)
と言ったところで体育祭実行委員会からいよいよ結果発表が行われる。得点板を持ってきて、体育祭委員長が1の位、10の位、100の位を順に言う度に得点板が明らかになっていくスタイルだ。
ペラっと隠されていた1の位点数が見える。
3つ組の中では一番小さい3点が顕になる。まだ1の位、分からないと思いつつ10の位も捲っていく。これまた一番小さい2の数字。100の位でだいぶ変わってくる。ゴクリと唾を飲み100の位も明らかにされる。
結果は3組の中で一番大きい数字、7が全員の目に入る。合計723点。他の組との差は凡そ50点くらいだろう。一気に赤組の歓声が湧き上がる。今年度卒業の三年生は歓声の中に涙の声もある。最後の体育祭だったからだろう。勿論、大活躍の1組も盛り上がっていた。
わいわいと感想戦を繰り広げる。クラス別優勝も1位が勝ち取った。優勝カップは代表(強制)でグルッペンが受け取りに行き皆の前で掲げる。拍手が巻き起こる、この優勝カップはクラスにでも飾っておこうと思ったあなただった。
これで長かった体育祭も幕を閉じる。観客席の皆さん、長い時間見てくれてありがとうございます。次のイベントは修学旅行。旅行先は関東地方。またその時まで見てくれると光栄です。それでは、また。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。