しょうが勢いよく飛び出し
しんと静まり返った教室の中
ころんが口を開いた
本当に、さっきから何を言っているのかわからない
私あやのに何かした?
いや、覚えがない
というか、なんであやのじゃなくてみうちゃんがこんなに必死なの?
どういうこと?
その時
私のスマホから着信音が鳴った
スマホを覗くと
しょうからの連絡だ
ガラガラッ__
先生が困惑するのもわかる
いつも楽しげなクラスなのに
1人の女子は泣いていて
1人の女子は怒り狂っていて
1人の男子はその女子と言い合いをしていて
恐怖で怯えている女子
焦っている男子
こんなもの見て、いつも通りなんて言えるはずない
先生は目を丸めている
みうが泣き出したからだ
ち、違う
私はあやのに何もやっていないはず
ピロン___
もう一度スマホに着信音が
何が起こっているか、私にも分からない
が、しょうの元へ早く行かなければならない
そう感じた
ダッ___
私は急いで教室を出た
玄関前のベンチに向かう為に
急ぎすぎたか、息が切れていた
しょうはここに座れ、というように
すぐ隣をポンポンと叩いた
しょうが言っているのはこういうことらしい。
水族館に行った日、あやのは早く家に帰った
その時にあやのはみうにLINEをした
「あなたにしょうを取られた」
と。
水族館でしょうとはぐれてしまったあやのは、しょうを探しに行った
そして運がいいことにしょうを見つけた
が、その隣には私がいて
腕を組んで歩いていた
私としょうはあやのに気づかずに笑顔で歩いていて
あやのが私たちに話しかけると
何故か焦っていた
あやのは、誤解なら普通に誤解だって言えばいいのに何か怪しい
そう思ったらしい
そしてあやのは続けてこう言った
「あなたに暴力を振るわれた」
あやのが言うには、
なぜしょうと腕を組んでいたかなどの理由を家で私に聞いたところ
もう既に私としょうは体を交し
しょうと私は交際していて
しょうは私のものだから、と言われ
あやのが嫉妬で質問を繰り返すと
私があやのを数発殴り
そのまま家を出ていった
その時
ガタガタッ___
階段の上から声がした
しょうは私の腕を引っ張り、
玄関を出た
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。