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第1話

脱‐色‐
70
2018/05/31 12:01
ふと、目が覚めた。

蒸し蒸しと、寝苦しい。
今は何時だ、と思い覗いた時計にはチカ、チカ、と点滅しながら「午前0時」と表示されていた。
しかし、部屋は明るい。
ライトがつけっぱなしなのか、と考え、ベットからやる気なく、または気だるげに、ずるり・・・と這い出る。
のろのろと歩くさまは、まるで初めて立ち上がった赤ん坊の様で、初々しい。
ライトの光が強く、明るくて足元が上手く見えない。なにか踏んでしまったら大変だ。
いや、すでに踏んではいた。なにか刺々しいものを踏んでいた。
それはなにか、現実の様で非情だったもの。
やっとの思いでライトのもとについた。
歩くだけで体力を使う。今の並の学生よりも体力がない。
それでも、困ることはないので、あまり気に留めようとは思わない。

ぱちり。

ライトを消すと同時に、自分の世界が暗く、闇に落ちる。
だが、不思議と目はすぐに暗がりに慣れ、足元がよく見えるようになった。

まるで、今ライトを付けたかのように。

暗くなったので寝やすくなる、そう考えたが愚問だった。寝苦しい暑さはどうにもならない。

仕方なく窓を開ける。

ライトが強くて気が付かなかったが外もとても明るく、目を痛める電光掲示板のようだ。
朝と、夜が混ざった世界のようだ。

冷たい風が、頬を撫でる。

しかし、窓を開けてもすぐに涼しくなるわけもなく、考える。

この時間をどう過ごすか。

なんとなく、何気なく。部屋に居たくないと思った。

「珍しいことを思ったものだ。」と思った。

・・・・・ドアがある。
自分の世界から出ていくドア。常識の塊、ぎちぎちとした自由の無い世界へと通じるドア。
足取りが重く、すぐに息切れを起こす。心拍数が早くなる。
――――――自分が嫌になるな。 ふと、そんなことを考え、首を振る。
駄目だ、駄目だ。そんなことじゃいけない、と自分に言い聞かせる。
頭の中で沢山のことを自分たちで言い争っていたらドアについた。
鉄で出来たドアノブに触ると、ひやりとしたここちよい冷たさが指を沿う。
長い間回していなかったドアノブは、うまく開かず、ギギッ・・・・・と音を立てる。

「うぁっ・・・・・・・・」

小さな声が漏れた。

ドアの向こう側から溢れ、漏れ出てくるどろどろとした現実に嫌悪感を抱いたから。と理由づけた。
部屋の外に出ても、いい気分にはならなかった。寧ろ、その逆だが。
「いや・・・・・・・」いや、そういうことではなく、部屋の外も蒸し暑く、いい気分にはなれないということだから。
誰に対して言っているのかわからない。すでにわからなくなってしまった。


・・・・・・外には行きたくない。でも、でも、家の奥から漏れ出る気配が。


深く、溜息をついた。


「丁度、喉が渇いていたから・・・・」誰が聞いているわけでもないのに。夜遊びに行く適当な理由みたいに。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

家の外に出るためのドアに触れた。
吐き気が込み上げてくる。
お腹がグルル・・・・と獣の唸り声に似た音を出した。または、絞り出した様だった。

「うぇっ・・・・・」

気持ちが悪くなりその場にうずくまる。
胃液が逆流して来るのを必死でこらえ、飲み込んだ。
ふらふらと、おぼつかないが、立ち上がり。
精一杯の力を込めて、ドアを開けた。
ドアは呆気なく、諦めたように簡単に開いた。
その反動のせいで、家から投げ出されたように、吐き出されたようにおれは飛び出した。

「っ・・・―――」

外はやはり明るい。
先ほどからあまり時間はたっていないはずなので、きっと時計は、ずれていたのだろう。
・・・・にしても、明るすぎないだろうか?
先ほどの部屋のライトくらい明るいだろうか?・・・・いや、そこまでではない、、、が明るい。
やはり、朝なのかと思いながらも歩を進める。
どこに行くわけでもなく、ただただ、ふらふらと。

「ふわぁ・・・」

やはり少し眠いな・・・・。
おれ以外の人はあまり歩いていない。そもそも、人がどんなのだか、覚えていない。
おれが見えるのは、灰色の、どろりと、現実に溢れている悪意や、憎悪でとろけているナニカだけだ。
人がおれ以外いるのかさえわからない。わからなくなってしまった。・・・・・・・・・

なってしまった?

生まれたときからそうだった?悪い考えは枝が伸び、次第に心に闇をもたらす。


気味の悪い声が聞こえた。

おれにだけ聞こえる声?自分自身がおかしくなりそうだ。
頭が熱い。足はふらふらとしているのに、歩く速さはどんどん早くなる一方。
これはおれの意思で動かしているのか。

『お前の意思だ。』

『そうだよ。君の意思だよ』

幻聴が聞こえる。その声はよく聞いたことのある・・・・・・・。

『遠隔操作されている?違う。あなたの意思です』

聞き慣れすぎている声。一番よく聞く声・・・・・。


いつでも聞ける声?・・・・・・・・・・



ぴたりと足が止まる。
それと同時に、空気が、灰色のどろどろが、世界が止まった。
そして、はっきり、聞こえた。

『おれの意思だよ』


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

自分の声だ。気づいた時には走り出していた。
灰色が多くなっていた。見ている?おれを?何故?嫌だ、おれを見ないでほしい。
何気なく、ただ見ないでほしくて、曲がった。そこで終わり。
青い車がおれに向かって、あるいは、おれが向かっていた。
ぐわんと強い衝撃。
衝撃とおれが融けてどろどろになって合わさって、黒。
おれの血が車に。赤と赤が混ざって合わさった。
赤?
ざわざわと聞こえる。人の声。・・・・
声?

なんとか開けた目。そこに映ったのは真っ暗な世界だった。
体のいたるところが熱い。熱くて、融けそうだ。

冷やさないと。

雨が降ってきて。熱くなったおれの頭に当たって、辺りが蒸し暑くなって、そして


ふと、目が覚めた。