第20話

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2020/08/05 04:33



私は固く目をつぶった。

怖い、反応を見るのが怖い。

大丈夫、きっとみんななら、すぐに納得はしてくれなくとも、いつかは受け入れてくれる。

そう覚悟したんだ、私自身が。

どうしても、SEVENTEENに入りたいって自分で決めたんだから。




どれくらい沈黙だったかは分からない。

しん、と静まり返った部屋に、やっと時の流れが戻る。


ジョシュア
…よく頑張ったね、あなた
おいで。


目を開いたその先に居たのは、私を優しく見守るメンバーたち。

ジョシュアが優しく微笑み、手を広げ一歩一歩私に歩み寄る。

その光景が信じられなくて、けれど涙が勝手に溢れ出てきて、静かに涙を流す私を、ジョシュアは暖かく抱きしめてくれた。


いままでこらえてきたなにかが、頬にいくつもの線をつけてこぼれ落ちる。



ジョシュア
あなたは、きっとこの話をすることが怖かったと思う。それに、俺たちに罪悪感を抱きながら生活していたと思う。
…そんな中で誰より練習を頑張って、デビューもしていないのにファンが付いて、本当に立派な人だよ、あなたは。
自慢のウリマンネだ。
ぽんぽんと、宥めるように優しく頭に置かれた掌から、優しさが伝わる。とても暖かい。

ウジ
驚きはしたけど、別に俺たちに気を遣うことはないよ。これまで通りあなたに接するし、SEVENTEENのウリマンネとしてあなたを大切にするよ。
性別は関係ないっていうとオーバーだけど、あなた自身が健康で幸せでいてくれるなら、なんだっていい。
ホシ
逆に感動したけどね、俺は!
性別を超えてあれだけ踊れたら、やっぱりパフォチに入るべきなんじゃないかな?どう?
エスクプス
ちょっと気が早いよ、ホシヤ
スングァン
そうだよ、あなたは歌も上手いんだからちゃんと本人の意見も聞かないと!
バーノン
あなたのラップ聞いたことないから今度聞かせてね?
スングァン
ちょっとあんまり勝手に勧誘しないでくれる?ビジュアル的にもボカチが絶対ハマるから、間違いなくボカチがいいと思うんだけど?!
ディノ
いや自分が一番強引じゃんw
エスクプス
みんな気が早いよ…やっぱり、心配しなくて大丈夫だったみたいだな


そう言って、ホシやスングァンの頭を乱暴に撫でたエスクプスの目も、少し潤んでいた。

なんで、彼らはこんなに暖かいんだろう。
これから活動していく上で、大きな秘密を抱えたメンバーが1人居るだけで相当ストレスになるだろうに。

全員が私を取り囲み、頭を撫でたり肩に腕を回したり、ほっぺたをつつかれたりする。

私はやっと、SEVENTEENのみんなと本当に仲間になれるんだ。


あなた

ごめん…頭の中がいっぱいで、なんて言っていいか分からないけど……本当に、僕は、SEVENTEENのファンでよかった…!みんなに出会えてよかった…!
これからも、よろしくお願いします…!!




懸命に絞り出した言葉に、ホシが大声で拍手!と叫び、会議室は歓声に包まれた。


やっと私はスタート地点に立てた。

ここがゴールじゃない。
これから私は、みんなの何十倍も努力をして、となりに並べるような人にならないと。

メンバーの圧でもみくちゃになりながらも、私は強く決意を固めた。









──その日の夜、私とエスクプスが部屋で寝る支度をしていると、コンコンと部屋の戸を叩く音が聞こえた。
ミンギュ
あなた、ちょっといい?
話したいことがあるんだけど…

声の主はいつになく真剣な声で、ドアを開けて覗いた顔はバツが悪そうな、見た事のない顔をしていた。




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