私は固く目をつぶった。
怖い、反応を見るのが怖い。
大丈夫、きっとみんななら、すぐに納得はしてくれなくとも、いつかは受け入れてくれる。
そう覚悟したんだ、私自身が。
どうしても、SEVENTEENに入りたいって自分で決めたんだから。
どれくらい沈黙だったかは分からない。
しん、と静まり返った部屋に、やっと時の流れが戻る。
目を開いたその先に居たのは、私を優しく見守るメンバーたち。
ジョシュアが優しく微笑み、手を広げ一歩一歩私に歩み寄る。
その光景が信じられなくて、けれど涙が勝手に溢れ出てきて、静かに涙を流す私を、ジョシュアは暖かく抱きしめてくれた。
いままでこらえてきたなにかが、頬にいくつもの線をつけてこぼれ落ちる。
ぽんぽんと、宥めるように優しく頭に置かれた掌から、優しさが伝わる。とても暖かい。
そう言って、ホシやスングァンの頭を乱暴に撫でたエスクプスの目も、少し潤んでいた。
なんで、彼らはこんなに暖かいんだろう。
これから活動していく上で、大きな秘密を抱えたメンバーが1人居るだけで相当ストレスになるだろうに。
全員が私を取り囲み、頭を撫でたり肩に腕を回したり、ほっぺたをつつかれたりする。
私はやっと、SEVENTEENのみんなと本当に仲間になれるんだ。
懸命に絞り出した言葉に、ホシが大声で拍手!と叫び、会議室は歓声に包まれた。
やっと私はスタート地点に立てた。
ここがゴールじゃない。
これから私は、みんなの何十倍も努力をして、となりに並べるような人にならないと。
メンバーの圧でもみくちゃになりながらも、私は強く決意を固めた。
──その日の夜、私とエスクプスが部屋で寝る支度をしていると、コンコンと部屋の戸を叩く音が聞こえた。
声の主はいつになく真剣な声で、ドアを開けて覗いた顔はバツが悪そうな、見た事のない顔をしていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。