第10話

あさごはん
575
2020/07/17 17:40
朝、目が覚めると、部屋にエスクプスの姿は無かった。

ぼんやりと、起ききらない頭で思い出す。
そういえば朝イチでトレーニングに行くとか言っていたっけ?
そんなことを考えながら、ゆっくりと部屋を見渡す。視界に入るのは、エスクプスの私服や私物。

あぁ、やっぱり、夢じゃなかったんだなぁ。

昨日の一連の出来事を順になぞりながら噛み締める。早くこの生活に慣れて、アイドルとして認めて貰えるようにしないと。

昨夜エスクプスにかけてもらった言葉をもう一度頭の中で噛み締めて、身支度を始めた。




(ん…?なんかいい匂い…)

とりあえず朝のランニングから始めようかと、スポーティな服に着替えて廊下に出たところ、なにやら鼻をくすぐるいい匂いに気がついた。

誘われるままにフラフラと歩いていくと、キッチンスペースに人影が、2つ。
ミンギュ
あ、あなた!おはよ〜
ディエイト
おっ、早いんだね。よく眠れたの?
あなた

おはようございます!はい、ベッドに入った瞬間寝てました!

ディエイト
それもそうだよね、昨日あれだけ踊っていればね。
ディエイトは昨日の私を真似るように、満面の笑みでマンセの"バンザイ"のポーズをしてみせた。
それをみたミンギュが、子犬のように顔をくしゃりとさせて笑う。
ミンギュ
本当楽しそうに踊るからメンバー何人だったか忘れるとこだったよ。
あ、お腹すいてる?
あなた

あっ、はい!ペコペコです!

ミンギュの手元を見ると、どうやら大きな鍋でラーメンを作っているところみたいだった。
何人分作っているんだろう?メンバー全員分?
ミンギュ
良かったら俺達と一緒に朝ごはん食べる?
ラーメンでよければだけど
あなた

でも、ヒョン、ぼ、僕が食べたら誰かの分が無くなっちゃうんじゃ…

ディエイト
大丈夫、これ俺たち2人で食べる予定だったから。こいつの取り分少し減っても問題ないでしょ。そもそも食べ過ぎなんだから
ミンギュ
ちょっと作りすぎたかなと思ってたから丁度いいよ。さ、食べよう!お腹減った!
いやこれどうみても2人で食べ切る量じゃないよな…。
8割はミンギュが食べるように作ったんだろう。さすが鍛えてるだけあって朝ごはんすら規格外だ。


ミンギュ
今日はあなたは何する予定なの?
口いっぱいに麺を含みながら、尋ねられる。(横にいるディエイトがそんなミンギュの姿を冷ややかな目で見ている)
あなた

今日は社長から自由にしていいといわれているので、トレーニングとダンス練習をしようと思ってます!

ディエイト
あー、そうなんだ。せっかくフリーなら俺たちと一緒に来る?
今日はウジヒョンの作業部屋に行く予定なんだけど…
あなた

え?!嬉しいですけど…いいんでしょうか…ウジヒョンの邪魔になっても悪いし…

ディエイト
んー、大丈夫じゃない?ウジヒョン、新しい刺激とか出会いとかそういうの大事だってよく言ってるし、なによりあなたに興味があるみたいだったよ?
あなた

僕に…?

ウジがなぜ私に興味を持ってくれているんだろう…?
そんなことを考えながら食べていると、5人前以上あったであろうラーメンは、すでに跡形もなく無くなっていた。

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