朝、目が覚めると、部屋にエスクプスの姿は無かった。
ぼんやりと、起ききらない頭で思い出す。
そういえば朝イチでトレーニングに行くとか言っていたっけ?
そんなことを考えながら、ゆっくりと部屋を見渡す。視界に入るのは、エスクプスの私服や私物。
あぁ、やっぱり、夢じゃなかったんだなぁ。
昨日の一連の出来事を順になぞりながら噛み締める。早くこの生活に慣れて、アイドルとして認めて貰えるようにしないと。
昨夜エスクプスにかけてもらった言葉をもう一度頭の中で噛み締めて、身支度を始めた。
(ん…?なんかいい匂い…)
とりあえず朝のランニングから始めようかと、スポーティな服に着替えて廊下に出たところ、なにやら鼻をくすぐるいい匂いに気がついた。
誘われるままにフラフラと歩いていくと、キッチンスペースに人影が、2つ。
ディエイトは昨日の私を真似るように、満面の笑みでマンセの"バンザイ"のポーズをしてみせた。
それをみたミンギュが、子犬のように顔をくしゃりとさせて笑う。
ミンギュの手元を見ると、どうやら大きな鍋でラーメンを作っているところみたいだった。
何人分作っているんだろう?メンバー全員分?
いやこれどうみても2人で食べ切る量じゃないよな…。
8割はミンギュが食べるように作ったんだろう。さすが鍛えてるだけあって朝ごはんすら規格外だ。
口いっぱいに麺を含みながら、尋ねられる。(横にいるディエイトがそんなミンギュの姿を冷ややかな目で見ている)
ウジがなぜ私に興味を持ってくれているんだろう…?
そんなことを考えながら食べていると、5人前以上あったであろうラーメンは、すでに跡形もなく無くなっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。