第18話

私の決心
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2020/08/02 09:16
ジョンハン
あなた女の子だったんだねー。
俺全然気が付かなかった。みんな男の子だと思ってるよ、多分。
部屋に戻ってきたエスクプスの隣にはジョンハンがいて、開口一番こう言われた。

驚きはしたけれど、エスクプスの表情を見れば、いろいろと察することができる。話し合いって、もしかして私のデビューに関することだろうか。


──韓国に来てもう1ヶ月以上経った。
馴染めるわけがないと思っていたメンバーたちとの生活もすっかり日常になり、自分自身、たまに性別を忘れてしまうほど自然に男の子として振舞っている。

考えなかった…というよりかは、考えないようにしていたのかもしれない。
私、このままで本当にアイドルとしてデビューできるんだろうか。

実力も伴わないまま、知名度だけ少しずつ上がっていって。これじゃただ、SEVENTEENの人気を利用しているだけの"調子乗ってるヤツ"だ。
動画を見て私のファンだと言ってくれる人を見る度、嬉しい反面、これからどうなるんだろうという気持ちが膨れ上がっていた。

そして今私の目の前には、真剣な顔をしたエスクプスと、私の事情を知ったジョンハンがいる。


きっと、私の人生が、今大きく動こうとしている。

エスクプス
あなた、大切な話だからよく聞いてね。
あなた

…はい、わかりました。

心臓がうるさい。
口から飛び出てきそうだ。

何を言われるんだろう?宿舎から出ていって欲しい?日本に帰った方がいい?
こういうとき、ネガティブなことしか想像できない自分が嫌だけど、あとはなにも思い浮かばない。

エスクプスのくちびるが、ゆっくりと開かれる。


エスクプス
SEVENTEENの、14人目のメンバーになってくれない?
あなた

…………………えっ?
あ、えっと……え?!!!
SEVENTEENのメンバー…?
僕、僕がですか?!えっ……えっ?!

ジョンハン
驚いてるwめちゃくちゃ分かりやすく驚いてるw
クプスー唐突すぎるよさすがにw
エスクプス
あーーーごめん、そうだよね……あなた、大丈夫?
全く意味が理解できなくて目を丸くさせたまま硬直していると、ジョンハンはいたずらが成功したように楽しそうに笑った。
あなた

だっ、大丈夫ですけど…せ、SEVENTEENは14人になるんですか?!

エスクプス
いや、社長にはまだ何も話してないけど…いや多分、きっと最初からそうするつもりでこの宿舎で生活させてたんだろうけど…あの人の考えることは本当に斜め上をいく…。
それよりまず、あなたの気持ちを聞かせてほしい。
ジョンハン
クプスも、俺も、メンバーも、あなたのこともうすっかり家族みたいに思ってるから。
こんな短期間でこんなに馴染むなんて、きっとあなたにしか出来なかったことだと思うよ。
だから、俺は…あなたがSEVENTEENに入ってくれたら、もっと楽しく活動ができるんじゃないかって思ってる。
あなた

クプスヒョン…ジョンハニヒョン……

エスクプス
だから、あなたの正直な気持ちを聞かせて欲しい。
俺たちと一緒に、カラットのみんなに幸せを届けてあげない?


信じられない。
夢かもしれない。
考えないわけがなかった。もし、SEVENTEENのみんなと一緒に活動できたら、どれほど楽しいだろうって。
でも、そんなこと100%ありえないから、絶対にそんな都合のいいこと考えないようにしていた。

(そんなの、答えは1つに決まってる。)

私じゃ力不足かもしれない。
みんなに迷惑をかけるかもしれない。

だけどそれでも、私は、この奇跡にしがみつきたい。

あなた

…………はい!
精一杯頑張るので、よろしくお願いします!

力強く答えたつもりだったけれど、その声は涙で裏返った。
足から力が抜けて、みっともなく地面に膝を着く。涙が、あふれて、あふれて止まらない。

こんなに幸せだと、人間泣けてくるんだな。


嗚咽で喋れない私を、エスクプスとジョンハンは優しく抱きしめてくれた。
そのぬくもりはとても暖かくて、涙は止まる所かとめどなくあふれ続けた。

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