第2話

きっかけ
962
2020/08/02 12:07
──遡ること3か月前

友達にセブチを布教され、ころっと沼に落ちた私は、LIVEを観にいったりグッズを買うだけじゃ満足できず、好きな曲の振り付けを覚えて踊ったりしていた。

昔から趣味でダンスを習っていたので(自分でいうのもなんだが)なかなか再現度高く踊れていたらしく、それを友達がスマホで楽しそうに録画していた。

私が楽しむだけじゃもったいないよ!と友人に勧められてSNSに動画を投稿するようになると、なぜだか韓国語で反応を書き込まれることが多かった。

日に日に再生回数やコメントは増えていくが、それをどこか他人事のように思っていた。
…けれどある日、そんな私でも思わず目を疑うような名前の書き込みが視界に飛び込んできた。
あなた

…えっ、この会社名って…

seventeenのファンなら誰でも知っている、韓国の超大手芸能事務所の名前。
そう、彼らが所属している事務所、まさにその名前が私宛にメッセージを送ってきているんだ。

全てハングルで書かれたその文字を、跳ね上がる心臓を押さえつけながらひとつひとつ翻訳していく。


『ぜひ、我が事務所でデビューしてみませんか?』

簡潔に訳すとこうだ。
あまりにも簡潔で、あまりにも信じ難い言葉に、最初はいたずらかと思ったけれど(いや思わざるを得ない)数回のメッセージのやり取りのうち、私はそれが現実だったのだと思い知ることになる。

こうしてトントン拍子で話が進み、仕事で来日していた事務所の社長との面接を経て、この地に降り立った。

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