久しぶりに訪れたミンギュの部屋は、なんだか懐かしいような、息が詰まるような、複雑な気持ちになった。
エスクプスにお願いして、今日はウォヌに部屋を交換してもらうことにした。
私とミンギュに対してなにか感づいていたみたいなので、戻ったらちゃんと話さないとな。
パタン、と扉が閉まり、密室には私とミンギュ2人だけになる。
以前この場所で、"なるべく2人きりにならないように"って言われたんだったね。
少し動揺しているミンギュと目が合った。
いつもの人懐っこい笑顔とは違う、少し不安そうな表情。
けれど、しっかりとまっすぐ、私の目を見てくれる。
私はそんなミンギュの、何気ない優しさや真面目なところに、心惹かれていったんだ。
ミンギュは、口をぽかんとあけたまま固まる。
無理もない。私の表情は、まるで犯人を追い詰めるときのように険しかったから、まさか告白を受けているなんて思わないだろう。
ミンギュは少し苦しそうな表情で、ぽつりぽつりと言葉を零す。
ほとんど勢いでそこまで話して、肩で息をする。
一方的に言いすぎたかもしれないけど、遠慮しないって決めたんだ。
ミンギュにも、私をメンバーと思ってくれているなら、すべて話してほしい。
当たり前のことをいわれたのに、まるでそんなこと頭になかった。
そうだ、私とミンギュは両思いってことになるんだ…いけないことのように思えて、そんな少女漫画のような展開、考えてもみなかった。
ホシが言ってた、無理に正解を出そうとしなくていいって。
その言葉に、私はどれほど救われただろう。
少し複雑そうな表情のミンギュは、私の両肩に手を置くと、熱い眼でこちらをじっと見つめた。
ばつが悪そうに目を逸らすミンギュは、やっと素直な気持ちを全て話してくれたみたいで、なんだか可愛らしく思えた。
今は、まだこの関係に正解は見つからないけど、もう迷わない。
ミンギュのことが好きな気持ちに、蓋をしないことに決めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。