第28話

私とミンギュの決心
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2020/08/21 22:40


久しぶりに訪れたミンギュの部屋は、なんだか懐かしいような、息が詰まるような、複雑な気持ちになった。

エスクプスにお願いして、今日はウォヌに部屋を交換してもらうことにした。
私とミンギュに対してなにか感づいていたみたいなので、戻ったらちゃんと話さないとな。


パタン、と扉が閉まり、密室には私とミンギュ2人だけになる。

以前この場所で、"なるべく2人きりにならないように"って言われたんだったね。



あなた

ミンギュヒョン、急に呼び出してごめんなさい

ミンギュ
俺は全然大丈夫だけど…その、あなたはいいの?話したいことがあるなら、こんな密室じゃなくても…
あなた

その話をするために、部屋で2人きりにしてもらったんです。

ミンギュ
その話って…

少し動揺しているミンギュと目が合った。
いつもの人懐っこい笑顔とは違う、少し不安そうな表情。
けれど、しっかりとまっすぐ、私の目を見てくれる。


私はそんなミンギュの、何気ない優しさや真面目なところに、心惹かれていったんだ。



あなた

…ミンギュヒョン、私も、あなたが好きです。

ミンギュ
……!!え、……
ミンギュは、口をぽかんとあけたまま固まる。

無理もない。私の表情は、まるで犯人を追い詰めるときのように険しかったから、まさか告白を受けているなんて思わないだろう。
あなた

自分だけ言い逃げして、正直めちゃくちゃずるいです!腹が立ちます!
私を怖がらせたくない?ふざけないでください!そんなのあるわけない…ミンギュヒョンはそんな人じゃないってこと、私含めてメンバー全員分かってる!舐めないでください!!

ミンギュ
ご、ごめんなさい…
あなた

謝って欲しいわけじゃないです。
あの日ミンギュヒョンは、自分だけが悪いみたいな顔で勝手に色々決めちゃうから…

ミンギュ
そうだね…あの時は、俺も正直、なにが正しいのか全然分かってなかった
ミンギュは少し苦しそうな表情で、ぽつりぽつりと言葉を零す。
ミンギュ
でも、ただ気持ちを吐き出したかったわけじゃなくて、男として…というか俺の考えとしては、その、下心があるまま内緒にして、いつも通り接することが悪いことに思えて…
あなた

そんなの、気持ちを言葉にした時点でもう手遅れです。
ミンギュヒョンの考え方を否定するわけじゃないですし、それも誠実だと思いますけど、私もミンギュヒョンのことが好きだった場合のことを、ちゃんと考えて欲しかったです!

ミンギュ
…そっか……そうだね、俺はあなたのためとか言って、自分のことしか考えてなかった

ほとんど勢いでそこまで話して、肩で息をする。

一方的に言いすぎたかもしれないけど、遠慮しないって決めたんだ。

ミンギュにも、私をメンバーと思ってくれているなら、すべて話してほしい。

ミンギュ
じゃあ、俺とあなたは両思いってことになる?
あなた

…え?!!!
あ………そういう、ことになります……ね


当たり前のことをいわれたのに、まるでそんなこと頭になかった。

そうだ、私とミンギュは両思いってことになるんだ…いけないことのように思えて、そんな少女漫画のような展開、考えてもみなかった。

ミンギュ
でも、これから忙しくなるし、俺とあなたはメンバー同士だし、どういう関係が1番好ましいのか、正直わからない
あなた

…私にも、わからないです。
でも、



ホシが言ってた、無理に正解を出そうとしなくていいって。

その言葉に、私はどれほど救われただろう。


あなた

お互いに好きで、心から信頼していて、今はそれだけでよくないですか?
今後関係がどうなるかなんて、誰にもわからないです。

ミンギュ
…たしかに、そうだね。
あなたの正直な気持ちが聞けて、よかった。
あなた

私…僕も、ずっと話したら駄目な感情かと思ってモヤモヤを抱えてたので、スッキリしました!
ホシヒョンがいいアドバイスをくれたおかげで、決心することができました!

ミンギュ
…ホシヒョンが?
あなた

はい!…って、ミンギュヒョン?!


少し複雑そうな表情のミンギュは、私の両肩に手を置くと、熱い眼でこちらをじっと見つめた。


ミンギュ
…関係は今までと変わらないけど、あなたの気持ちを聞いた今、遠慮とかしないから、ちゃんとそのつもりでね…

ばつが悪そうに目を逸らすミンギュは、やっと素直な気持ちを全て話してくれたみたいで、なんだか可愛らしく思えた。






今は、まだこの関係に正解は見つからないけど、もう迷わない。

ミンギュのことが好きな気持ちに、蓋をしないことに決めた。






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