分かりやすく水を吹き出してしまった。
あまりに分かりやすい私の反応に、さすがのホシも確信したようだった。
ダンス練習のあと、ラーメンが食べたいというホシのリクエストに応えて、日本から持ってきた乾麺を調理し、ホシの部屋で食べていた。
濡らしてしまった床をフェイスタオルで拭き、もはや弁解の余地のない質問に、白旗をあげる。
やっぱり、2人にはお見通しみたいだ…。
きっと昨日のリーダー会議で話題にあがったんだろう。
ミンギュに告白されて、自分の気持ちに気づいちゃったんだけどどうすればいい?なんて、口が裂けても言えない(脳内で再生してみただけですごい破壊力のある言葉だ)
上手く言えずに言い淀んでいると、ホシは豪快にラーメンを啜って、ほっぺをパンパンにさせた(ハムスターだ)
なにかを考えるように右上に視線を泳がせ、飲み込むと同時に口を開いた。
だって、あなたもSEVENTEENなんだから。
と、ホシはもちもちの笑顔を私に向けてくれた。
…こうやって、SEVENTEENのみんなは、きっと相手を大切にしてきたんだな。
話さなくてもお互いを分かり合っているように見えるけど、実際はぶつかり合いを何回も何回も繰り返して、この関係を築いてきたんだ。
私は多分、どこかで一線を引いていたのかもしれない。自分はまだ輪の外側だって、みんなとの築いてきた時間の少なさを引け目に感じて。
そんな考えこそ、こうやって正面からぶつかってきてくれるホシに、みんなに…ミンギュに失礼なんだって、ようやく気がつくことができた。
ホシって、ただ明るいだけじゃなくて、ちゃんとメンバーひとりひとりを見てくれているんだろうな。鈍感なところはあるけれど、やっぱりついていくべき頼れるリーダーだ。
改めて、そう感じた。
やっぱり、踊ることが1番楽しいと感じる私にはパフォチが合っているんじゃないかと考えてはいたものの、メンバーの意見に振り回されすぎて、意見に自信が持てずにいた。
でも、ホシの言葉を聞いて自分の考えに自信が持てたし、このリーダーについて行きたいとより強く感じた。
ホシの言う"いい考え"は私には絶対に思いつかない強引な策だったけれど、あまりに楽しそうな顔をするホシに、私もわくわくする気持ちを抑えることが出来なかった。
明日の作戦決行のため、私とホシは再びダンススタジオへと足を運んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。