第17話

三人目、四人目 室戸杏、富岡麻姫
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2019/11/06 09:42
大幅な予定変更に俺は部屋に戻ると、スグに紐から折り鶴を2つ外して破れないように広げた。


予定では、杏は事故死に、麻姫はその杏を突き飛ばした人に仕立てあげようとしたがもうその必要を考えなくていい。
黒崎 柚
俺が杏を殺って、麻姫はあの校則違反の化粧だらけの顔面をぐっちゃぐちゃにしてやる…。
別に椿はその後でいい…
どうしてやろうか。
あのクソ共に地獄に見させる為には、殴るとか蹴るとかの暴力なんかじゃ済ましたくない。
俺への暴力、椿へのカツアゲ。
俺はふと顔を上げる。
そこには時間割表が投げてあった。
1.体育(男女合同)
2.数学
3.技術(1技)
4.理科(2理で実験)
5.国語
6.道徳
黒崎 柚
あるじゃん、顔面潰す方法が…
目を付けたのは4時間目の理科。
しかも、2理の実験って薬品関係になるはず。


確か、今の範囲的に明日は塩酸を使った…
黒崎 柚
なんだ、簡単じゃねーか。この塩酸をどうにかして麻姫の顔面にぶちまければいいだけじゃん。
技術でノコギリで顔面を傷つけるのが確実だが、それは流石にバレやすいから出来ない。
澪晴が持ってたあの資料に載ってた事件でも、指紋が塩酸で物が溶けたせいで検出出来なかったって書かれてたのがあった気がする。
どうせ、杏は焦って椿に問い詰めるだろう。
「何をした」「次は私を殺す気!?」って。
あまり強くない椿は逃げ出す、追いかけようとした杏をそのまま俺がぶっ潰す。
最悪、椿は脅せばいい。簡単なことだ。
黒崎 柚
…いや、待て。
そうすると、椿に疑いが行くのか。
まだ報復をしていない椿が連れて行かれるのは俺としても不都合。
……別に杏は何も考えずに突き飛ばして、電車にでも轢かせればいいか。


いつも麻姫といるせいで他の友達いないし。
新しい折り紙に考えたことをメモして、新しい2羽の折り鶴を折る。
この麻姫の顔面に塩酸、出来るなら原液をぶっかける為に必要なこと。それは ──────




















先生
黒崎ー。バスケットボールを体育館中央まで運んどいてもらっていいか?
黒崎 柚
あ、はーい。やっときます。
先生
ったく、小林と藤川は体育係なのに何で来ないんだか…
黒崎 柚
別にいいですよ。係じゃなくても僕が手伝うんで。
先生
毎度毎度ありがとな、黒崎。またアイツらには言っとく。
黒崎 柚
言わなくていいです…
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先生
黒崎さん、ちょっとこのコンパスと教科書を教室まで持って行ってもらうのお願い出来る?
黒崎 柚
いいですよー。
先生
いつも頼りになる、ありがとう。
黒崎 柚
いえいえ。
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先生
あー、黒崎。重いかもしれないんだけど、準備室に置いてある見本に使う板持ってきてくれ。
黒崎 柚
分かりましたー。
先生
大丈夫そう?無理だったら手伝いに行くけど。
黒崎 柚
いえ、このくらいなら持てます。
先生
助かった。もう生徒の準備で大変で…いつも黒崎が手伝ってくれるおかげで早く準備が済むよ。
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黒崎 柚
何か手伝うことあります?先生。
先生
あ、黒崎さん。もう来たの?そうね…なら、少し危ないんだけど塩酸5%の水溶液を班の分用意出来る?本来ならこんなこと生徒にさせるのは危ないんだけど、黒崎さんだったらお願い出来るわ。
黒崎 柚
はい、任せてください。終わったら、そこの机に置いときますね。
先生
了解。
────── 先生達の俺に対する信頼性だ。

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