犯人は恨みを持ったクラスの奴ら?
それとも、全く関係の無い赤の他人か…
大学の寮にお邪魔させてもらった俺は澪晴のパソコンを起動させるとすぐに事件前後の映像を見た。
だが、肝心な屋上の動画だけは砂嵐。
何なんだこれは…映像が消されている…?
澪晴が出て行き、俺はパソコンを見る。
あそこの屋上が映りそうな監視カメラを片っ端から確認していくが、どれもデータ破損で見られない。
俺の正体を知ったのならば、こんな手の込んだことをしなくても警察に突き出せば終わる話だ。
椿と采斗を落とす必要がない。狼とわざわざ言う理由も特に見つからない。
そんなことを考えていると玄関の方からドアの開く音が聞こえてきた。
俺が椿を殺したと思っていた龍弥さんにちゃんとした事実を話した。話しつつ思い出すのはさっきまで焼肉を一緒に食べていた龍弥さんの弟の虎雅で、虎雅を殺すって言ったらどんな顔するんだろうなんて思ってしまう。
百鬼先生は異常、その一言に尽きる。
何か引っ掛かることはあるらしい。
あまり悩ませるのも良くないから話を変えよう。
今回の虎雅は6月の時よりも真面目に勉強していた。
受験というものが見えてきたのだろうか。
虎雅の話を聞いて嬉しそうにする龍弥さん。
言った後にこの話にしなきゃ良かったと後悔する。
ついさっき虎雅を殺すって言ったらどうなるんだろうって考えたのにここで楽しそうに弟の話を聞かれるのは俺をかなり悩ませる。
虎雅は俺と違ってちゃんと愛されているんだな…
何だか胸のあたりが痛い。息苦しい。
色々言いたいことはあるけど、その全てを飲み込んだ末に言ったのは、
満点の模範解答だった…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。