澪晴と話してから3日経った日。
突然、俺は知歌に話しかけられた。
いきなり何だ?目立ったことはしてないぞ…
理由を考えるが、特に思いつかない。
錬だってことがバレるはずもないのだから。
自慢しに来たのかよ。
てか、それなら他の奴にやれ。
あぁ、そういうこと。
遠回しな嫌味とかめんどいことするな…
でも…
昔を思い出し、段々と腹が立つ。
バカみたいな話に笑いそうになるのを我慢する。
知歌が眉間にしわを寄せる。
何度でもやっとけ、俺は事実を言ったまでだ。
話すのもしょうもなく感じてくる。
そう思った刹那、知歌は何が面白かったのか大きな声で笑った。
知歌の言葉に教室にいる何人かが笑う。
別に友達がいないと思われるのは構わない。
それよりも嫌なのは……
……これだ。あいつらを馬鹿にすること。
思わず、椅子を投げようと手に持つが、流石にそれは後がダルいと慌てて手を離すと近くにあった修哉の筆箱を本人にまぁまぁの力で投げ付けた。
まさか攻撃されると思わなかったらしく、筆箱は見事首へと命中。
周りは全く攻撃という方法で反抗されると思っていないから、驚いている。
そう言うと、俺は気分を悪くした原因から今すぐにでも離れたくなって、教室を後にしようとする。
すると、逃げようとしてるとでも思ったのか、俺の手首を修哉が掴んだ。
はぁ………ほんと、めんどくさい。
振り向いたふりをしてわざと修哉に掴まれた腕の向きを変え、俺に優勢な体勢に変えると俺は自然な形でそのまま修哉の足を取り、思いっきり床に叩きつけた。
いきなりのことに混乱する修哉。
まぁ、そうだろう。
よく分からないまま、コケたようなものだから。
人の腕を掴み、転んだ修哉を見て周りからは笑い声があがる。
本人さえ今何が起きたのか分からないのかよ…
別に何でもいっか…それよりも……
……何か気が変わった。
修哉の突然の出来事に驚いていた知歌が流されるままに俺に返事を返す。
そして、返事を聞くと俺はその場から立ち去り、一人になりたくて閉鎖され誰も近寄らない屋上への階段へと向かったのだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!