第9話

三時間目、秘密②
水原桃華
水原桃華
ちょ、火ノ宮く……っ
火ノ宮直央
火ノ宮直央
静かに。見つかる
ひそひそ話をしながら、現在地はベッドの上。
閉まったカーテンに、先生の影が透けて見える。
火ノ宮くんに肩を抱かれ、そのままふたりでベッドの上で寝転んでいる形になっている。
水原桃華
水原桃華
(確かに、ベッドに座ったままだったら、私たちの姿もカーテンから透けて見えていただろうけど)
水原桃華
水原桃華
(でも、これは何かおかしくない……!?)
胸の音がドキドキとうるさすぎて、頭の中に響いている。
落ち着かなくてモゾモゾと体を動かしてみても、すぐに火ノ宮くんの体に当たってしまい、結局身動きが取れない。
保健の先生
あら? さっきはカーテン閉まってなかったのに……。誰かベッド使ってるの?
水原桃華
水原桃華
!!
カーテンの向こう側から問いかけられ、火ノ宮くんが私の肩をトンと叩く。
そして、カーテンに向けてクイッと親指を向けた。
水原桃華
水原桃華
(わ、私!?)
声に出さずに唇の動きだけで聞くと、当然のようにこくんと頷かれた。
水原桃華
水原桃華
す、すみません、二年二組の水原です。先生がいなかったので、勝手にベッドを使用させて頂きました
薄いカーテン一枚を間に挟んで、実際は具合も悪くないのに男の子と同じベッドに入って、先生と話をしている。
よくよくこの状況を思い返すと、とても悪いことをしているんじゃないかって、ますます胸の音がうるさくなる。
保健の先生
ああ、水原さんなの。ごめんね、先生、ちょっとこの時間は保健室にいれなくて。入室証明書は、机の上に置いておくから、あとで教科の先生に渡すようにね
水原桃華
水原桃華
は、はい、ありがとうございます……
先生と話をしていても、意識はどうしたってベッドの中に集中している。
無意識に、声が上ずってしまう。
密着しているから、体温が伝わって熱い。
保健の先生
大丈夫? 声ちょっと変だけど
水原桃華
水原桃華
ひえ!? だ、大丈夫です!
先生の影が近づいてきて、カーテンに手がかけられたのが見える。
水原桃華
水原桃華
(さすがに、見られたらバレ……──!!)
先生、準備出来ました?
そこで、廊下側から誰かの声が聞こえて、パッとカーテンから手が離された。
保健の先生
あっ、ごめんなさい、今行きます! じゃあ、水原さんお大事にね
パタパタと小走りをする靴音が、保健室から消える。
水原桃華
水原桃華
……っぷは!
私たち以外の誰もいなくなったことを耳で確認してから、息継ぎをするように起き上がった。
水原桃華
水原桃華
(ど、どうなるかと思った!)