第13話

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2021/09/04 11:01











"すごい"なんて言葉に何の意味もねぇ





できて当たり前、上手くて当たり前。

今回も絶対に優勝する

そしてまたあなたに




















アナウンスが流れ、ぞろぞろと選手がトラックに現れる

みんな準備をしながらも他の選手の様子を伺っているようだ



「来たね、爆豪くん」

「...うん」

ここから見る限りでは大丈夫そう



「僕、全国大会なんて初めてきたよ......すごい」

「出久くんは今年の大会成績どうだったの?」

「県大会で落ちました...あはは」

「そっか...高校でも陸上続ける?」

「うーん、どうかなぁ。実はまだ悩んでる。

僕って運動向いてないから...それに強くなる方法って 他にもあると思うし...高校は好きな部活に入ろうかな!例えば映画研究会とか...」

「映画が好きなの?」

「実はね!僕、ヒーロー...

























去年も見たメンツばっかり

いや、気にするのは他人じゃねぇ。自分自身だ

今年はやけにいろいろ考えちまう

全国大会2連覇という事実は変わらないのに、何焦ってんだ?

今日だって大丈夫に決まってんだろ

優勝してあなたを驚かせる

そして...最強になる

























...特に僕はスパイダーマンが好きで1作目の」

「出久くん始まる!!」

「えっ」



On your marks...

パンッ



音と同時に走り出す。少しづつ差が生まれるけれど100mなんて一瞬で

























「爆豪くんが1位...」

「スタートから先頭に出て走ってたよ!2位の人も横にいたけど、ずっとかっちゃんだった!凄い!!やった!!」

「僕、最初のところ見れなかったけど、でもすごかった...速くて...かっこよかった...」

「凄いよ、、、3連覇だ!!本当に凄い!」

























...優勝。

順位を確認した後、すぐに観客席に目がいく

前の方で座ってるマヌケ顔を見つけた

あなたは自分のことじゃねえのに嬉しそうにしてやがる

なんて言ってるかも口の動きで大体見当がつく

少し口元が緩んだが急いで気を取り直す

早く戻って自慢してやらねぇと






























「爆豪くん、一旦戻ってください。次の決勝が始まるので」

「なんで...」

「ん?」

「なんであいつがいるんだよ...」









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