寮に戻ると三奈ちゃんと響香ちゃんが駆け寄ってきた
「え、どうしてそのことを?」
呆れた様子で2人は準備に戻っていった
上鳴くんは男の子たちに囲まれながら、主に峰田くんにいじられていた
「告白できなかった俺を慰めると思って肉くれよぉー」と自虐っぽく話している
みんなに見られながら出て行ったからもっと色々聞かれるかと思った…
いつも通りの様子に少しびっくりした。
切島くんが優勝祝いの挨拶をして全員で乾杯すると話題は自然と今日のことになった
切島くんの言葉に周りも頷く。でも、言った本人は何故か慌てているようだった
三奈ちゃんがまるで少女漫画を読む小さな女の子のように瞳を輝かせながら呟く
上鳴くんはいつもの調子で会話に参加していた
「そ、そんなことされてたら私会場から逃げ出してたよ」
これが私ができる精一杯の普通の返事だった
尾白くんの一言でこの話題は締められた
思い返すと今日は何度もかっちゃんに助けられた
高校に入ってから全く関わりがなくなっていたのに、どうして毎回悩んでいると突然現れてすぐに救えちゃうんだろう
本気でお願いしたら相談にも乗ってくれるかな…?
中学の時よりも仲の良い幼馴染になれてる気がする
今までだったらあり得ないけど、いい返事を少し期待してみることにした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!