第31話

7-2
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2021/09/21 15:09









八百万 百
上鳴さん、もっと速く走ってください!このままでは左にぶつかってしまいます!
上鳴 電気
ヒィィィィ!もう勘弁してくれよぉー
耳郎 響香
上鳴、急げ!
上鳴 電気
八百万と耳郎は真ん中だからそんなことが言えんだ!お前らは鬼だぁぁぁ!





「上鳴くんにばっかり負担かけてごめん、同じ左側として私もっと頑張る…」

私はだいぶ上鳴くんと仲良くなって気軽に話せるようになった。でもそれは彼がいつも声をかけてくれたからで私の課題はまだ克服できていない





上鳴 電気
綾瀬…
いや、大丈夫だ!俺に任せろ!
耳郎 響香
はい、上鳴遅くなってる
上鳴 電気
耳郎はもうちょっと優しくして?オネガイ…











体育祭前最後の練習日、私たちのチームはだいぶ整っていた

それは他のチームも同じで、いつからかA組は学年優勝を狙っていた





休憩中、遠くで代表リレーの4人が練習している姿が見える




上鳴 電気
やっぱ代表組ははえーなー





私の視線の先を気にしてか上鳴くんは自然と隣に座ってきてそう言った










久しぶりにみるかっちゃんの走る姿はやっぱりかっこいい

まるでスーパーヒーローが現れたかのような高揚感が胸の奥から溢れてくる





















「かっちゃんがいれば絶対勝てるよ」

私は目線を動かさずに言った。横から上鳴くんの視線を感じるが私はかっちゃんから目を離すことができなかった





いつもこの安心感に助けられてきた

彼の自信に満ち溢れた表情、力強い走りをみると何もかも本当に大丈夫な気がしてくる




上鳴 電気
かっちゃん…





上鳴くんが静かに言葉をこぼすと、それを聞き取ったのか響香ちゃん達と話していたはずのお茶子ちゃんが突然会話に登場した



麗日 お茶子
あなたちゃんと爆豪くんって同じ中学出身なんだよね?仲良かったん?

「幼馴染なんだ」
耳郎 響香
あの爆豪とももが!?

「家が隣同士で…。私が引っ付くからかっちゃんは仕方なく仲良くしてるって感じだよ」
麗日 お茶子
そうなんや!爆豪くんの意外な情報を知ってもた!あっ、でもそういえば入学式の日2人で登校してきてた!





教室は席が遠いし、寮は男女で分かれているため入学式から全くと言っていいほど話していなかった

思えばいつも話しかけていたのは私からだった

かっちゃんは私のことを嫌がっていたのかな…


















上鳴 電気
幼馴染か…
上鳴くんがまた小さい声でそう呟いたのが聞こえた










八百万 百
皆さん、練習を再開しましょう!
耳郎 響香
よし!もう一回頑張るか!





耳郎ちゃんの一言で気持ちを切り替え、練習に戻るために立ち上がる

みんなを追いかけて歩き出そうとした時、誰かに右腕を掴まれる

「綾瀬待って」



































振り向くと上目遣いをした上鳴くんと目が合う。捨てられた子犬のようにどこか寂しそうに見える彼はじっとこちらを見つめて言った










上鳴 電気
俺、マジで体育祭頑張るから。










そういうと私の返事も聞かずにみんなのもとへ走り去って行った









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