高校の授業を受けて1番驚いたのは中学で受けていた時よりも進むペースが格段に早いことだ
理由は簡単。なぜならここは雄英高校
授業を真面目に受けているかどうかは一旦置いといて、完璧に理解はできなくとも少し考えればわかる人たちばかりだ
先生たちも理解できる想定で説明していく
そして雄英は他校よりも時間割が多く1日に受ける授業も多い
曖昧なまま過ごしていると授業に置いていかれるので、その日の授業内容でわからないところがある人はわかる人に聞くのがクラスの中で当たり前になっていった
そして不思議なことにみんなの質問は私に送られてきていた
…どうしてだろう?
「えっ!そ、そうなの…?」
ある日隣の席の切島くんが質問のついでに答えてくれた
もしかしたら、私がクラスの人と仲良くなれるチャンスをくれたのかもしれない
男の子たちとはまだそこまで話せていないから。
ありがとう、出久くん…!!
切島くんの奥からひょっこり顔を出して瀬呂くんが呆れたように言う
その会話を聞いていたかっちゃんが立ち上がって瀬呂くんに突っかかろうとする
今までは出久くんに対してだけだったのに怒っているのがA組の日常茶飯事になっていた
三奈ちゃんがニヤッとしながら切島くんたちの方を見る
突然それまで黙って聞いていた上鳴くんが慌てて喋り出す
そしてチラッと私を見た後目が合うとビクッとして前に向き直る
その慌てっぷりを見た三奈ちゃんは嬉しそうに何かを言いかけた
しかしそれを上回る大声でかっちゃんが話す
その日の夕食後、逃げようとする上鳴くんを鬼の形相で捕まえるかっちゃんを見た
その場にいた全員が助けを求める上鳴くんと目を合わせないようにして部屋に戻っていった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!