第35話

7-6
142
2021/09/27 17:38





代表リレーはクラス内で選ばれた女子2人、男子2人がそれぞれ100メートルずつ走る4×100メートルリレー対決だ。

A組は三奈ちゃん、轟くん、梅雨ちゃん、かっちゃんの順に走る。推薦で選ばれたメンバーだ。

後半競技から各クラスの総合点数は隠されてしまい、自分たちが現在何位なのかも点差もわからない

それでもみんな上位であることは確信していた。だからこの代表リレーで1位を取れば優勝できる。

そんな期待を胸に全員で下に向かう4人を送り出した





















芦戸 三奈
B組はやっぱり骨抜と宍田か~。障害物競走めちゃくちゃ早かったもんなぁ
蛙吹 梅雨
彼らが何走目になるかが重要になってくるわね。第一走かアンカーだと思うのだけれど。
轟 焦凍
俺らはまず最初に芦戸が1位をとり、次の俺と蛙吹で順位をキープする、万が一、芦戸が取れなかった場合は俺らの間で1位を狙う。最後爆豪が走る時の差が増えないように。
芦戸 三奈
了解!
蛙吹 梅雨
わかったわ













芦戸 三奈
…爆豪聞いてた?
爆豪 勝己
うっせぇ黒目!ちゃんと聞いてたわ!つーかなんでテメェが指揮とってんだ?半分野郎














爆豪 勝己
それに1位をとる、ただそれだけだ 万が一とかはねぇ
芦戸 三奈
そりゃあ1位を目指すけどさぁ?
爆豪 勝己
目指すじゃねぇんだよ!1位になるんだよ
爆豪 勝己
おい、半分野郎。もし舐めた走りしたら容赦しねぇからな
轟 焦凍
俺は長距離走者だから短距離はそんなに速くないぞ
爆豪 勝己
うるせぇ!いいから全力で走りやがれ









蛙吹 梅雨
爆豪ちゃん、どうして怒っているのかしら?
芦戸 三奈
知らなーい。轟なんかした?
轟 焦凍
俺は何もしてねぇ。





















八百万 百
綾瀬さん、もうすぐリレーが始まりますわよ
「ありがとうヤオモモちゃん。用事が済んだらすぐ追いかけるから、先に前の方行ってて」
八百万 百
わかりましたわ…?












人に頼ってもらえるようになりたいならこれは見過ごせない。










「上鳴くん、大丈夫?さっきから元気ないよね…?」
上鳴 電気
え?あぁ、大丈夫大丈夫!大玉転がしが悔しくてさぁ
1位も狙えそうだったじゃん?
「そうだね、惜しかった。でも私たち凄く頑張ったよ、上鳴くんもマジで頑張った」
上鳴 電気
あ…やっぱ俺がこの前言ったの覚えてた?
「覚えてるよ、凄く真剣な顔してたもん。しかも…」













上鳴 電気
しかも…?









「い、いや!なんでもない!大丈夫なら良かった、早くリレー見に行かないと終わっちゃう!行こう!」



上鳴 電気
お、おう…










耳郎 響香
あなた、上鳴遅い!
麗日 お茶子
もう梅雨ちゃん走っとるよ
「危ない、かっちゃんには間に合った」










梅雨ちゃんは2位で1位の少し後ろを追いかけるように走っていた。そして後ろからは2、3 人が集団で追いかけてきていた
切島 鋭児郎
梅雨ちゃん頑張れ!
切島くんが手すりに身を乗り出しながら応援している










梅雨ちゃんが走る先にはかっちゃんが立っている

ただじっと梅雨ちゃんを見てその時を待っている感じで。





1位を見送った後、梅雨ちゃんが来てかっちゃんにバトンが渡される
砂藤 力道
爆豪行け!抜かせ!

頭に巻いた赤いハチマキがパタパタと激しく動き出す







かっちゃんはグングン1位との距離を詰めた

みんなの応援にも熱が入る





そしてカーブで追い抜くと今度はどんどんその距離が離れていった










最後の直線、三奈ちゃんたちに迎えられながらかっちゃんは1位でゴールした

私たちはその場で喜び、互いに手を合わせる

見ているこちら側が疾走感を感じる素敵な走りだった


















切島 鋭児郎
皆、総合優勝おめでとう!外での打ち上げはできねぇから、今日の夜ご飯は焼肉パーティにして盛大に祝おうぜ!
閉会式終了後、私たちは帰る片付けをしていた
瀬呂 範太
おう、切島も1日応援ありがとな!買い出しぐらいは俺らに任せてくれ
切島 鋭児郎
おー、サンキューな!じゃあ買い出しは瀬呂に頼むわ、後でメモ渡すから誰か他にも荷物持ち…
芦戸 三奈
うちも買い出し行きたーい!麗日たちも行こー!
麗日 お茶子
行くー!アイス買ってもらおう~
すると突然女の子たちの間で何が食べたいかを言いあう時間が始まった
耳郎 響香
あたしプリンがいいー
蛙吹 梅雨
私もアイスが食べたいわ
麗日 お茶子
あなたちゃんは何が…って上鳴くん!?どしたん?!
お茶子ちゃんの声にびっくりして振り返ると上鳴くんも驚いていた

私の後ろで何が起きていたの…







上鳴 電気
い、いやぁ、その…、あれについてまだ話終わってなかったからさ…、あれっていうのは、、、




















上鳴 電気
勉強!わからないとこまだ解決できてないじゃん?
「勉強…?」

上鳴くんは必死に勉強を教えて欲しいとお願いするが、私には全く意味が通じない。次第に周りの男の子たちもこちらに注目し始めた





同じやりとりに疲れたのか、上鳴くんが突然大きな声で喋り出す








上鳴 電気
つまり俺が言いたいのは!聞きたいことがあるから、焼肉パーティーの前に時間くれないかってこと!
「あっ、わわ、わかった!片付け終えて解散したら下行くね」
上鳴 電気
…うん。






この時、逃げるように去っていく上鳴くんを他の生徒も、先生も、お客さんも、誰もが見ていた。

私も見慣れない彼に動揺した















それは彼の顔が信じられないくらい真っ赤に染まっていたから



耳郎 響香
あいつショートした?

彼の今まで見たことがない様子にみんな驚きを隠せなかった。








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