第23話

変人 side珠莉
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2021/05/02 11:31
伊藤珠莉
え…
鹿島瑚子
私も手伝うよ!
そう言い、驚く女子を掻き分け真っ直ぐ私の
ところに来ると雑巾を取り手伝ってくれた。
伊藤珠莉
そ、そんなことしたら鹿島さん
がいじめられるよ…!
鹿島瑚子
いーのいーの!!
周りの女子はそんな鹿島さんを睨みつける
ようにして見ている。
綺麗になった机、私は鹿島さんにお礼を告げ
座る。
チャイムが鳴り、先生が来る。
先生
出席を取るぞー。
この先生は3回名前を呼ばれるまでに返事を
しないと遅刻扱いにする先生だった。名前順
に座る私達。
私の前、出席番号1番の藍川さんがいない。
先生
藍川ー。
勿論、返事は無い。
先生
あと2回呼んで返事が無かった
ら遅刻だな。藍川ー
男子
春から遅刻とか…w
男子
ヤバいだろw
先生
藍か ──
3回目を呼びかけた時…
ガラガラガラガラッ
ドアでは無く、窓が開いた音。
先生
え…
藍川真
はーい。
窓の外から声がして、窓から教室に上履きと
鞄が投げ込まれる。
藍川真
よいしょ…
まるで簡単なことをするように藍川さんは、
窓から教室内へ入り、上履きを履くと鞄を
拾った。
先生
藍川、ちょっと待て。
藍川真
何ですか?
先生
今、何処から入ってきた?
藍川真
…窓ですね。
先生
それは何故だ?
藍川真
時間無かったから階段登るより
も校舎登った方が早いと思った
ので〜
先生
今回は3回目に返事をしたから
遅刻にはしないが、これからは
階段を使わないと、遅刻だ。
藍川真
はーい。
高校に入学してまだ1ヶ月も経ってないのに
堂々とああいうこと出来るのって凄い…
感心しながら藍川さんを見ていると、目が
合っちゃったが、藍川さんは軽く笑いかけて
くれた。
先生
藍川と同じ中学の人。
その言葉に3人、手を挙げた。
先生
藍川はいつも今みたいなことを
する人なのか?
福永彩
真は時間をいつも過ぎることが
多いのでどんな方法でさえ、
時間までに教室に来たからそれ
でいいと思います。
武満咲玖
中学からそんなのです。
三浦友哉
真は馬鹿な天才だから、諦める
しか方法はないです。
先生
…藍川、これからはもっと早く
起きるようにしろ。
藍川真
は〜い…
今日の藍川さんにはクラスのみんなが笑っていた。
藍川さんは全く動じることがない。
すると、パッと振り向いた藍川さんが…
藍川真
珠莉ちゃんの前の人、馬鹿な人
だけど我慢してね〜
そう笑いながら言ってくれた。
藍川真
…変人だけどね、変人って案外
強いんだよ?
そして、前を向いた藍川さん。
最後の笑みには何か企んでいるような気も
して、不思議な人だという印象だった。
鹿島さんが派手になり、藍川さんの派手な
登場から1週間後。いじめのターゲットは
鹿島さんになっていた。
私がされたことと同じことをされている。
それに比べ、私は少し友達が出来た。
鹿島さんは私を助けてくれたのに…
なのに、何で私は助けることが出来ないの…
今日の放課後、鹿島さんは教室に残るように
言われているのを聞いた。
私はその動画を撮って先生に報告しようと
思い、教室から見えない位置で待機した…

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