そう言い、驚く女子を掻き分け真っ直ぐ私の
ところに来ると雑巾を取り手伝ってくれた。
周りの女子はそんな鹿島さんを睨みつける
ようにして見ている。
綺麗になった机、私は鹿島さんにお礼を告げ
座る。
チャイムが鳴り、先生が来る。
この先生は3回名前を呼ばれるまでに返事を
しないと遅刻扱いにする先生だった。名前順
に座る私達。
私の前、出席番号1番の藍川さんがいない。
勿論、返事は無い。
3回目を呼びかけた時…
ガラガラガラガラッ
ドアでは無く、窓が開いた音。
窓の外から声がして、窓から教室に上履きと
鞄が投げ込まれる。
まるで簡単なことをするように藍川さんは、
窓から教室内へ入り、上履きを履くと鞄を
拾った。
高校に入学してまだ1ヶ月も経ってないのに
堂々とああいうこと出来るのって凄い…
感心しながら藍川さんを見ていると、目が
合っちゃったが、藍川さんは軽く笑いかけて
くれた。
その言葉に3人、手を挙げた。
今日の藍川さんにはクラスのみんなが笑っていた。
藍川さんは全く動じることがない。
すると、パッと振り向いた藍川さんが…
そう笑いながら言ってくれた。
そして、前を向いた藍川さん。
最後の笑みには何か企んでいるような気も
して、不思議な人だという印象だった。
鹿島さんが派手になり、藍川さんの派手な
登場から1週間後。いじめのターゲットは
鹿島さんになっていた。
私がされたことと同じことをされている。
それに比べ、私は少し友達が出来た。
鹿島さんは私を助けてくれたのに…
なのに、何で私は助けることが出来ないの…
今日の放課後、鹿島さんは教室に残るように
言われているのを聞いた。
私はその動画を撮って先生に報告しようと
思い、教室から見えない位置で待機した…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。