第24話

私の幸せ side珠莉
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2018/08/31 15:12
女子
派手な格好をするなって言って
んだよ!!
女子
何で分かんないの!?
罵声と共に、叩く音が聞こえる。
始まった…
カメラ機能で教室を覗くと、床に座り込む
鹿島さんと鹿島さんをいじめる女子の姿。
そして、一番窓際にある三浦君の席で夕日の
光を浴びながら寝ている藍川さん。
藍川さんは一度寝たら周りがうるさくても、
起きないというのを彼女達は知っているから
お構い無しに鹿島さんをいじめている。
私はその様子を静かに盗撮していた。
すると、教室内から椅子を引く音がする。
藍川真
あれ?何してるの〜?
女子
あ、藍川さん…遊んでいただけ
だよ。
女子
そうそう!鹿島、そうだよな?
鹿島瑚子
……そう。
藍川真
…殴ったり、机に落書きしたり
するのが遊びなの〜?
女子
は…?
女子
どうしていつも寝ているお前が
知って…
藍川真
ね、瑚子ちゃん。珠莉ちゃんが
いじめられていることを知った
から茶髪にして見た目を派手に
したんじゃない?珠莉ちゃんを
守るために。
鹿島瑚子
…何で分かったの?
藍川真
いつも珠莉ちゃんのことを心配
そうな目で見てたじゃん。
鹿島瑚子
ってことは、今のも気付いて、
そこにいたってわけ?
藍川真
そう!30本目の動画だよ!
教室から私からお金を巻き上げた時に彼女達
が言った言葉が聞こえてくる。
藍川真
僕は瑚子ちゃんとか珠莉ちゃん
のような性格が好きなんだ。
だから、これは先生に出すね。
笑い声が聞こえ、教室から出ようとする藍川
さんの手首を一人が掴んだ。
女子
…消せよ。
藍川真
やだ。
女子
なら、ウチらが消してやる!!
藍川さんの顔を殴ろうとしたけど、一瞬で
固まり顔は青ざめた。
女子
……。
藍川真
殴らないの?
女子
…アンタ、怖いよ…
藍川真
そっか。で、ここで助けた僕を
明日からいじめる?それとも、
そこにいる珠莉ちゃん?
伊藤珠莉
あ…
バレていたんだ…
藍川真
まぁ、出来るならやってみて。
今度知った時は僕、怒っちゃう
かも!瑚子ちゃんも行こ!
ヘラっと笑うと鹿島さんの腕を掴み、廊下に
出ると私の腕も掴み学校から出た。
鹿島瑚子
あ、ありがと…
藍川真
いえいえ〜!
伊藤珠莉
鹿島さんに藍川さん!助けて
くれてありがとうございます!
すると、2人は驚いた顔をする。
鹿島瑚子
当たり前じゃん!
藍川真
そうだよ!それに敬語じゃなく
てもいいし、名前も好きな呼び方でいいよ!
鹿島瑚子
私も!
そう言って、私の肩を叩いた。
伊藤珠莉
じゃあ…まー君とこっちゃん!
鹿島瑚子
おぉ!その呼ばれ方初めて!
藍川真
僕も初めて!仲良くなった記念
日にちょっと寄り道しない?
鹿島瑚子
いいねいいね!
伊藤珠莉
わ、私もいいの…?
藍川真
勿論だよ!何言ってるのさ、
珠莉。
鹿島瑚子
ほら、そうなったら早く行こ!
初めて”珠莉”と下の名前を呼び捨てで呼ばれ
私は嬉しかった。
それから2人と仲良くなって、いろんな場所
に遊びに行って、一緒に馬鹿なことをして、
まー君が彩ちゃんやとも君、さっ君を紹介
してくれて仲良くなったり……
2人に出会えたことが私の幸せだった。
だから、私は変な投票で死ぬのなら、まー君
かこっちゃんの手で終わらせてほしい。


2人は私にとってとてもとても大切で大好き
な存在だったんだよ…
伊藤珠莉
まー…君……こっ、ちゃ…ん……
首を締められながら、小声で名前を呼ぶ。
伊藤珠莉
ずっと…2人の、親友で…いら
れるか、な…?
既に泣いているこっちゃんと、泣くのを堪え
ているまー君。
藍川真
当たり前だよ…!
鹿島瑚子
そうだ!絶対にこんなの終わら
せてやっから、天国で見てて!
伊藤珠莉
そっか…あ、りが…とう……
…2人、と…も…大好き…だ…よ…
途切れ途切れになりながら全部言い切ると、
私はそっと目を閉ざしたのだった…

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