罵声と共に、叩く音が聞こえる。
始まった…
カメラ機能で教室を覗くと、床に座り込む
鹿島さんと鹿島さんをいじめる女子の姿。
そして、一番窓際にある三浦君の席で夕日の
光を浴びながら寝ている藍川さん。
藍川さんは一度寝たら周りがうるさくても、
起きないというのを彼女達は知っているから
お構い無しに鹿島さんをいじめている。
私はその様子を静かに盗撮していた。
すると、教室内から椅子を引く音がする。
教室から私からお金を巻き上げた時に彼女達
が言った言葉が聞こえてくる。
笑い声が聞こえ、教室から出ようとする藍川
さんの手首を一人が掴んだ。
藍川さんの顔を殴ろうとしたけど、一瞬で
固まり顔は青ざめた。
バレていたんだ…
ヘラっと笑うと鹿島さんの腕を掴み、廊下に
出ると私の腕も掴み学校から出た。
すると、2人は驚いた顔をする。
そう言って、私の肩を叩いた。
初めて”珠莉”と下の名前を呼び捨てで呼ばれ
私は嬉しかった。
それから2人と仲良くなって、いろんな場所
に遊びに行って、一緒に馬鹿なことをして、
まー君が彩ちゃんやとも君、さっ君を紹介
してくれて仲良くなったり……
2人に出会えたことが私の幸せだった。
だから、私は変な投票で死ぬのなら、まー君
かこっちゃんの手で終わらせてほしい。
2人は私にとってとてもとても大切で大好き
な存在だったんだよ…
首を締められながら、小声で名前を呼ぶ。
既に泣いているこっちゃんと、泣くのを堪え
ているまー君。
途切れ途切れになりながら全部言い切ると、
私はそっと目を閉ざしたのだった…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。