第16話

喧嘩
379
2018/08/27 22:54
5時間目と6時間目の間の休み時間。
俺は廊下で咲玖と話していた。
武満咲玖
あ、そう言えばさ。
三浦友哉
ん?
武満咲玖
真が彩が死んで喜んでいたぞ。
三浦友哉
は…?
いきなりの発言に俺は戸惑った。
え?真が彩の死を喜ぶ?冗談だろ?
三浦友哉
いやいや、冗談やめろって。
武満咲玖
いや、マジ。
三浦友哉
そんなわけ……
武満咲玖
ある。言ってたんだからさ。
三浦友哉
なんて……
武満咲玖
真が言ってたんだ。「彩が死ん
だから友哉狙うチャンス」的な
こと。
三浦友哉
う、そだろ…真はそんなことを
言うやつじゃ……
武満咲玖
ホントだって。
C組の前で咲玖と話していた俺は自然と教室
の中にいる真に視線を移す。真は瑚子と笑い
合いながら楽しそうに話していて、そういう
ことを言うようには到底見えない。
武満咲玖
何だよ、友哉。俺の言うことが
信じられないのかよ。
その一言が俺の心に深く突き刺さった。
親友の言うことを信じないってのもどうかと
思うし…と、いって真はそういうことを言う
ような人じゃないのも知ってるし……
…本当にそう言ったのか?それなら……
三浦友哉
…真は最低なやつだ。
武満咲玖
彩が死んだのをそういうふうに
考えるとか最低だよな。
咲玖に再び言われたことにより俺は真は彩の
死をラッキーだと言ったと思い、真を呼ぶ。
藍川真
何?
三浦友哉
放課後、屋上前の階段に来て
くれ。
藍川真
うん…?
俺がそう真に言っている時、後ろで咲玖が
歪んだ笑みを浮かべていたのを俺は知らず、
真は俺の後ろを睨んでいた…

















ー 放課後 16:30頃 ー
三浦友哉
はぁ…はぁ……
俺は階段の踊り場に座り込んでいた。
階段の下には床を赤く染め、倒れている真。
どうして……どうしてこうなった…?















遡ること10分前。言った通りに真は屋上前の
階段に来てくれた。
藍川真
何の話?
三浦友哉
…真。お前、彩のこと悪く言っただろ?
藍川真
え?
三浦友哉
彩が死んでラッキーって感じの
ことを言ったらしいじゃん。
藍川真
何それ…
真は意味が分からなそうな顔をしていた。
藍川真
僕はそんなこと一度も…
三浦友哉
真がそういうこと言ってたって
咲玖が言ってんだよ。
俺は真を少し睨みながら言うが、真は”咲玖”
と聞いた途端、眉がピクリと動いた。
藍川真
……咲玖が?
三浦友哉
ああ…
真が聞き返してきた。そして、言ったのは…
藍川真
…友哉、咲玖とは関わらない方
がいい。
三浦友哉
は…?
真が申し訳なさげに言ったのが、俺には理解不能だった。
咲玖と関わるな…?彩のことをああ言った
次は咲玖のことを悪く言うつもりかよ…
三浦友哉
…今度は咲玖のことを悪く言う
つもりかよ。
藍川真
違う!彩のことをそんなふうに
思ったことはない!!咲玖は…
三浦友哉
咲玖は?
藍川真
……。
三浦友哉
俺の親友を信じるなって?
藍川真
…そう。
三浦友哉
お前、最低だな…
俺はそう言い、真に背を向け壁の方を見た。
藍川真
ちょっと、僕の言い分聞いて!
だって、咲玖は…
三浦友哉
もういい!聞きたくねぇよ!!
真の手を思いっきり振り払った時だった。
俺の手が当たったのは真の肩。


壁側にいた俺は階段側にいる真の肩を押し、
そのまま後方へ倒れる。
三浦友哉
あ…!
慌てて手を伸ばして真を掴もうとしたがもう
遅かった。
辺りに響いた鈍い音。
その音に俺の頭は真っ白になり、その場に
尻もちをつく。
階段の下の方に倒れている真。
徐々に頭部から床を赤く染めていった。
三浦友哉
はぁ…はぁ……
どうして……どうしてこうなった…?

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