5時間目と6時間目の間の休み時間。
俺は廊下で咲玖と話していた。
いきなりの発言に俺は戸惑った。
え?真が彩の死を喜ぶ?冗談だろ?
C組の前で咲玖と話していた俺は自然と教室
の中にいる真に視線を移す。真は瑚子と笑い
合いながら楽しそうに話していて、そういう
ことを言うようには到底見えない。
その一言が俺の心に深く突き刺さった。
親友の言うことを信じないってのもどうかと
思うし…と、いって真はそういうことを言う
ような人じゃないのも知ってるし……
…本当にそう言ったのか?それなら……
咲玖に再び言われたことにより俺は真は彩の
死をラッキーだと言ったと思い、真を呼ぶ。
俺がそう真に言っている時、後ろで咲玖が
歪んだ笑みを浮かべていたのを俺は知らず、
真は俺の後ろを睨んでいた…
ー 放課後 16:30頃 ー
俺は階段の踊り場に座り込んでいた。
階段の下には床を赤く染め、倒れている真。
どうして……どうしてこうなった…?
遡ること10分前。言った通りに真は屋上前の
階段に来てくれた。
真は意味が分からなそうな顔をしていた。
俺は真を少し睨みながら言うが、真は”咲玖”
と聞いた途端、眉がピクリと動いた。
真が聞き返してきた。そして、言ったのは…
真が申し訳なさげに言ったのが、俺には理解不能だった。
咲玖と関わるな…?彩のことをああ言った
次は咲玖のことを悪く言うつもりかよ…
俺はそう言い、真に背を向け壁の方を見た。
真の手を思いっきり振り払った時だった。
俺の手が当たったのは真の肩。
壁側にいた俺は階段側にいる真の肩を押し、
そのまま後方へ倒れる。
慌てて手を伸ばして真を掴もうとしたがもう
遅かった。
辺りに響いた鈍い音。
その音に俺の頭は真っ白になり、その場に
尻もちをつく。
階段の下の方に倒れている真。
徐々に頭部から床を赤く染めていった。
どうして……どうしてこうなった…?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!