第8話

休憩室
448
2018/08/25 05:19
俺は友哉君達を見送った後、再び休憩室に
戻った。
倉持柊翔
…斗真、どうだった?
龍田斗真
いつも通りじゃなかった。
倉持柊翔
だよな…
友哉君と一緒に来た真ちゃんはいつも通りに
笑っていた。しかし、いつもの笑顔なのに、
少し違う気がした。
斗真に頼み、真ちゃんの様子を見てもらった
龍田斗真
いつも通り、笑っていたけど…
様子がおかしい。遊んでいて、
一瞬俯いたんだ、そしたら…
倉持柊翔
何だ?
龍田斗真
気のせいだったら、それが一番
なんだ。けど、その俯いた瞬間
俺には背筋が凍るような殺気が
伝わった…
倉持柊翔
…あの子には家族の死以外にも
何かが隠れている。俺達も友哉
君も知らないなにかがな…
龍田斗真
ああ、最悪の場合だと真ちゃん
自身も気付いていない何かがあ
の子の中にいる…
倉持柊翔
そういや、真ちゃんは怒ったり
泣いたりしないよな?
龍田斗真
しないしない。
倉持柊翔
もし、嫌がらせを受けていたと
してその時、我慢をし続けたと
したらどうなる?
龍田斗真
その嫌な思い出とか、嫌がらせ
をしてきた奴に対する恨みとか
が積もるんじゃないか?…あ。
斗真が何かを察したように声を漏らす。
倉持柊翔
…そして、その感情が爆発した
時はあの子はどうなる…?
龍田斗真
お前が話してた御嵩島のときの
舞のように…
倉持柊翔
……暴走だ。舞の従姉妹…いや、
普通にあの子は力が強い。空手
もやっていたことがあるらしい
し、舞の武器もあの子の家に
置かれている。
龍田斗真
今は家族の死が悲しみになって
いるからいいけど、それが恨み
に変わったら非常に…
倉持柊翔
そういうことだ、俺達には何も
出来ない。あの友哉君なら何か
出来るかもしれないけど…
龍田斗真
まぁ、大丈夫なことを願おう…
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藍川真
おし、そろそろ帰ろっか!
三浦友哉
そうだな。
真が珍しく早めに帰ろうと言い始めたので、
何か用事があるのかな…と考えながらも帰る
ことに。
家の前まで戻った時、俺はその謎を聞いて
みることにした。
三浦友哉
何か用事でもあるのか?
藍川真
……まぁ、ね。
三浦友哉
そっか、外に行くなら気をつけ
て行くんだぞ。
藍川真
勿論!
そう言って、笑う真。
その笑顔は何処か悲しそうでこれから起きる
出来事を不安に思うような目だった。
三浦友哉
…大丈夫か?
藍川真
大丈夫だよ?いつも通りの……
だからさ。
「いつも通りの」の後が声が小さく聞き取れ
なかったが、聞き直そうとする前に真は手を振り家の中へ入っていってしまった。
三浦友哉
変なやつだ。
そう呟くと、俺も自分の家へと入った。

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