第27話

約束
368
2018/09/02 12:09
藍川真
…ちゃんと届いたよ、みー君。
懐かしい麦わら帽子の匂いと共にそう耳元で
声がすると、背後から俺の首に腕を回され、
頭の横から腕が伸び、咲玖は飛び退いた。
咲玖は軽く舌打ちをして頬から流れる血を
拭い取り、警戒態勢をとる。
藍川真
本当ならば、メールは僕自身に
送ろうと思ったけど…予定変更
だね。咲玖に送る。
真がスマホを取り出し、いじりだす。
すると、咲玖が真からスマホを奪い取った。
藍川真
あっ…
武満咲玖
させるかぁぁぁぁぁ!!!!!
そう叫び、咲玖は真のスマホを投げた。
投げた先にある壁を越えるとダムの貯水庫。
スマホが壊れたら、ミッションを出来ない
から真の死は確定だ。
武満咲玖
残念だったなぁ!!
藍川真
……。
真は躊躇なく走り出すと、ダムの壁を通り
越したスマホを掴み、俺達の方に投げると、
誇らしげ笑い…
……そのまま、貯水庫に落ちていった。
三浦友哉
え…?
ピロンッ♪


すると…
武満咲玖
がっ……ぐっ…
咲玖が心臓を押さえ倒れると動かなくなった
慌てて壁近くに落ちた真のスマホを拾い、
画面を見ると「送信完了」との一文。
三浦友哉
嘘だろ…?
壁から下を覗くも、水面から人が出てくる
気配はない。すると、
呆然と見つめる水面に大きな花火が映る。


ショックが強過ぎて涙が出なかった。
鹿島瑚子
真、落ちちゃったかぁ…
遅れて来た瑚子の手には真の鞄と麦わら帽子
がある。
ピロンッ♪
同時に鳴った俺と瑚子の着信音。
07/15 20:04
To:開催者X
title:終了!
お疲れ様でした!
生き残ったのは、鹿島瑚子と三浦友哉だね!

さぁ、栄華高校においで?待ってるよ。
鹿島瑚子
栄華高校って隣町の?
三浦友哉
ああ…そこに開催者Xがいる。
鹿島瑚子
そう……あ、友哉これ。
そう言って、瑚子は真の鞄から紙袋を取り
出し、俺に差し出した。
三浦友哉
何これ?
鹿島瑚子
さぁ、真が渡しといてって。家
でゆっくり見たら?
三浦友哉
分かった…先に帰るぞ…
鹿島瑚子
うん…
紙袋を受け取り俺はその場を去った。
家に着き、自分の部屋に入ると紙袋を開ける
中にあったのは綺麗に包装された長方形の箱
と手紙。
三浦友哉
何だろ…
箱を開けると、ペアのネックレスが入って
いた。
三浦友哉
これって…
死の投票が始まってから真と買い物に行った
時、いいデザインだから欲しいと俺が思った
ネックレスだ。けど、彩もいないからペアを
買うのは断念した…
封筒の表には「お誕生日おめでとう!」と
書かれている。
三浦友哉
あ…
スマホを見ると、7月15日。


投票に忙し過ぎて、自分の誕生日忘れてた…
段々気分が重くなりながら、手紙を開いた。
友哉へ

お誕生日おめでとう!ついに17歳だね!
ペアのネックレス、欲しそうな顔で見てたの
ちゃんと気付いてました〜!いつか彩くらい
好きな人が出来たらプレゼントしてあげて!
多分、これを読むときには僕はいない可能性
が高いけど、もういなくても大丈夫な筈!
昔の友哉は弱虫で僕にべったりだったねw
けど、大きくなるにつれて強くなって、僕の
身長も抜かして僕が頼ることも多くなった。
あの頃の”約束”僕は守れたかな?友哉の横で
見守ることは出来なくなったけど、何処かで
見守るから頑張ってね!
今まで横にいてくれてありがとう。

馬鹿な天才、真より
最後の真の名前に俺は思わず笑う。
三浦友哉
自分で馬鹿な天才って…
馬鹿だけど、いつも真は俺のことを見ていて
くれたと思うと凄い悲しくなる。
”約束”のために引っ越してきて、ずっと俺の
そばにい続けて…
三浦友哉
彩くらい好きなのはお前だよ…
静かな部屋、俺はそう呟くとDEATH GAME
を真の代わりに終わらしてやろう。
そう決心したのだった…

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