第11話

愛されたい
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2026/05/29 23:18 更新



⚠️胸糞注意⚠️






美咲side





私は、人間が嫌いだ。

優しいふりをするから。

助ける気もないくせに、「大丈夫?」って言うから。

見て見ぬふりをするくせに、後から“かわいそう”とか言うから。

……でも。

一番嫌いなのは、多分。

今でも、お母さんに「助けて」って思ってしまう自分だ。

お母さんは、昔から人に興味がない人だった。

別に暴力的でもない。

怒鳴るタイプでもない。

ただ、“どうでもよさそう”だった。

私にも。
家にも。
多分、自分自身にも。


美咲母
美咲、ご飯あるから



それだけ言って部屋に戻る。

昔からそんな感じ。

でも、小さい頃の私はそれだけで嬉しかった。

話しかけてもらえるだけで嬉しかったし、たまにコンビニスイーツを買ってきてくれるだけで「お母さん優しい!」って思ってた。

だから、嫌われたくなかった。

静かにして。
怒らせないようにして。
“面倒な子”にならないようにしてた。

でも、中学生の時。

全部壊れた。

その日、家に帰ると知らない男がいた。


中学生 美咲
……誰?



ソファに座っていた男が、ゆっくりこっちを見る。

お酒の匂い。

ベタベタした笑い方。


あぁ、美咲ちゃん?



その瞬間嫌な予感がした。


オレ、ママの彼氏



男は勝手にそう言った。

聞いてない。

でも、お母さんなら別に言わなくても不思議じゃなかった。


中学生 美咲
……お母さん、いないんで……


そんなこと、知ってるよ〜 笑



男が立ち上がる。

近づいてくる。

本能で分かった。

逃げなきゃって。

でも、腕を掴まれた。


中学生 美咲
っ、やめ、……!



酒臭い息。

撫でてくる手。

目線が怖くて、全身が凍った。


かわいいじゃん、美咲ちゃん



気持ち悪い。

怖い。

でも声が出ない。

その時、玄関が開いた。


中学生 美咲
……お母さん!!



助かった。

本気でそう思った。

涙が出そうになるくらい安心して、お母さんの方へ行こうとした。

でも。


美咲母
何騒いでんの



怒られたのは、私だった。

頭が真っ白になる。


美咲母
大袈裟なんだけど



お母さんは、冷めた顔でそう言った。

男は後ろで笑ってる。

その瞬間。

あぁ、って思った。

助けてくれないんだ。

お母さんは。

私より、この人を選ぶんだ。

それから、お母さんは家に帰らない日が増えた。

男は当然みたいに家にいた。

最初は肩を触るだけだった。

でも、だんだん距離が近くなった。


細いね


ちゃんと食べてる?



そう言いながら触ってくる。

後ろを通る時、距離感がおかしい。

ソファに座ってると隣に来る。

逃げると笑う。





ある日、リビングで寝落ちしてしまった時。

目を覚ましたら、その男の顔が近くにあった。

頭が真っ白になった。

飛び起きると、男はヘラヘラ笑ってた。



起きちゃった?



怖かった。

気持ち悪かった。

でも。

お母さんは、その隣でスマホを見ていた。

全部見えてるはずなのに。

何も言わなかった。

その時、本当に分かった。

私は、この家で守られないんだって。

学校では普通にしていた。

笑って。
空気読んで。
友達と騒いで。

そうしてる時だけ、“普通の高校生”になれた気がした。

気づけば私は、クラスの中心にいた。

別に自覚はなかった。

でも、私が笑えば周りも笑うし、私が誰かを嫌えば周りもなんとなく距離を置いた。

放課後も自然と人が集まった。

それが普通だった。

……だから。

あなたが気に入らなかった。

あなたのお母さんは、ちゃんとあなたを見ていたから。

授業参観も。
三者面談も。
体育祭も。

ちゃんと名前を呼んで、ちゃんと笑ってた。

それを見るたび、胸がぐちゃぐちゃになった。

なんで?

なんであいつは普通に愛されてるの?

私は、“助けて”すら無視されたのに。

だからいじめた。

最初は軽い悪口。


美咲
暗くない?


美咲
ノリ悪 笑



私が言えば、周りも笑った。

それが安心だった。

“私は嫌われてない”って思えたから。

あなたを下にしてる時だけ、自分が少しマシな人間になれた。

そんな時。

吉田仁人が転校してきた。

クラスが一気に騒がしくなった。


クラスメイト
え、かっこよ!


クラスメイト
王子様じゃん!



女子達が騒ぐ。

その時まだ佐野勇斗はいなかった。

芸能活動が忙しくて、学校に来れてなかったから。

だから最初、クラスの中心になったのは仁人だった。

私も目で追った。

もっと話したいって思った。

でも。

仁人が見ていたのは、あなただった。

あなたの前でだけ、少し楽しそうに笑う。

その顔を見るたび、胸が痛くなる。

なんであなたなの?

私の方が先に好きだったのに。

停学になって学校へ戻った日。

クラスの空気は変わっていた。

前まで私の周りにいた子達が、今度はあなたの周りにいた。





クラスメイト
あなた〜


クラスメイト
一緒に帰ろ〜!



その輪の中に、久しぶりに登校した佐野勇斗がいた。

明るく笑ってる。

その隣で、仁人も少し笑ってる。

あなたも笑ってる。

楽しそうだった。

その光景を見た瞬間。

初めて分かった。

……あぁ。

私、もう。

誰にも必要とされてないんだ。





第10話!!

今回は美咲ちゃん目線です!

今回は胸糞回です!

停学から帰ってきた美咲ちゃんとどうなるのでしょう……

♡と☆とコメント待ってます!

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