第13話

きっと今より、大丈夫
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2026/05/29 13:46 更新



保健室の前の廊下は、やけに静かだった。

窓の外はもう少し暗くなっていて、オレンジ色だった空も、だんだん青に変わり始めている。

私は壁にもたれながら、ぎゅっと制服の袖を掴いた。

さっきからずっと心臓が落ち着かない。


佐野 勇斗
大丈夫?



隣から声がする。


あなた
……ん



うまく返事ができなかった。

保健室の扉は閉まっている。

中では先生が美咲から話を聞いていた。

仁人は怪我の手当てで別室。

男に振りほどかれた時、手を切ったらしい。

思い出した瞬間、また胸がざわつく。


あなた
……仁人、大丈夫かな?


佐野 勇斗
多分平気じゃね?あいつ頑丈そうだし。


あなた
ゲームキャラみたいに言うな


佐野 勇斗
でも仁人ってHP減らなそうじゃん



確かに

天使だし。


あなた
分からんでもない



勇斗が少し笑う。

たぶん空気を軽くしようとしてる。

でも今は、うまく笑えなかった。

しばらくして、保健室の扉が開く。

先生が出てきた。

先生は少し疲れた顔をしていた。


先生
……2人とも、少し話しておく


佐野 勇斗
はい。



私は小さく頷く。

先生は廊下を確認してから、声を落とした。


先生
あの男、佐々木の母親の交際相手らしい


あなた
……っ


先生
前から家に出入りして……、まぁ佐々木に対して不快な行為をしていて


先生
母親も止めてなかったらしい



喉が詰まる。


先生
……あいつ、かなり精神的に追い詰められていたんだってな



勇斗の表情が消える。




先生
学校でもずっと無理してたんだろうな。停学の件も、家の環境がかなり影響してた可能性がある



停学。

いじめ。

美咲。

全部繋がっていく。

最近の違和感も。

怯えた顔も。

全部。


先生
学校側で対応する。だから、お前らは気に負いすぎるなよ


先生
あとこの件は他の生徒に話さないこと


先生
分かったな?



そう言って、先生はまた保健室へ戻っていった。

静かになる。

廊下に時計の音だけが響く。

私は俯いたまま動けなかった。


佐野 勇斗
……あなたちゃん?


あなた
……っ



視界が滲む。

ぽた、と涙が落ちた。


佐野 勇斗
え、ちょ、大丈夫!?


あなた
っ、……ごめ



自分でも意味が分からない。

なんで私が泣いてるんだろう。

でも止まらなかった。


あなた
もっと、早く気づけたはずなのに……



声が震える。


あなた
違和感、あったのに……私……


佐野 勇斗
いや、あなたちゃんは何も……っ


あなた
でも!



思わず声が大きくなる。


あなた
だって私、見てたのに……!



最初から変だった。

ずっとなにかに怯えてるような。

空き教室の時も、母親のメールを見た後、様子がおかしかった。

停学から戻ってきた時も変だった。

スマホ鳴るたびびくってしてた。

誰かが近づくだけで肩揺らしてた。

顔色だってずっと悪かった。


あなた
怖かったんだよね、きっと……



涙で視界がぼやける。


あなた
助けてって言えなかったんだよね……っ



胸が苦しい。

もし私がもっと早く気づいてたら。

もっとちゃんと見てたら。

少しは違ったのかなって。

勇斗は少し黙ったまま、私を見ていた。

いつもみたいに騒がしくなくて。

ただ静かに。

不思議そうに。


佐野 勇斗
……あなたちゃんってさ


あなた
……な、に?ズビ


佐野 勇斗
変だね


あなた
は?



涙引っ込むんだけど。


佐野 勇斗
いや、悪い意味じゃなくて!



勇斗が慌てて手を振る。


佐野 勇斗
普通、いじめてた相手にそこまで……っ


あなた
……



言葉が詰まる。

分からない。

でも。


あなた
苦しそうだったから



それだけだった。

美咲が何したとか、されたとか。

そういうの全部抜きにして。

あの顔を見たら、放っておけなかった。

勇斗は少しだけ目を見開く。

それから、ふっと笑った。

でもその笑い方は、いつもの騒がしい感じじゃなかった。

どこか、優しかった。


佐野 勇斗
……そっか



その時だった。

保健室の扉が、少しだけ開く。

美咲が出てきた。

目元が赤い。

でも泣いてはいなかった。

ただ、疲れ切った顔をしていた。

勇斗は少しだけ迷うように視線を落としたあと、静かに口を開く。


佐野 勇斗
……なぁ、美咲ちゃん



美咲の肩がびくっと揺れる。


美咲
……


佐野 勇斗
知り合いが、児童養護施設やってるんだけど


あなた
……え?


佐野 勇斗
めちゃくちゃ優しい人なんだよね。飯も美味いし、変な大人いないし


佐野 勇斗
俺も少しだけお世話になったことがある



冗談っぽく笑う。

でもその目は真剣だった。


佐野 勇斗
今すぐ全部決めなくていい。でも、もし帰りたくないなら、そういう場所もあるから



美咲が目を見開く。


佐野 勇斗
きっと今よりは大丈夫だから



その言葉に、美咲の唇が少し震えた。

私は勇斗を見る。

いつもの明るい佐野勇斗じゃなかった。

ちゃんと相手を見て。

ちゃんと考えて。

ちゃんと助けようとしてる顔だった。

美咲はしばらく何も言わなかった。

でも。


美咲
……そんな場所、あるの?



小さく、そう呟いた。

勇斗は笑う。


佐野 勇斗
あるよ



その笑顔は、テレビで見る“佐野勇斗”じゃなくて。

ただの、優しい高校生みたいだった。




12話ありがとうございます!!

♡と☆とコメント待ってます!

今日はいろはちゃん↓↓↓






ちょーギャルです!

校則違反しまくり。

校則は緩いですけど、これはやばいです。

全先生に認知されてます。

化粧!!って感じではなく、アクセサリーガチ勢です。

髪の毛は下ろしたり、巻くのがめんどくさいのでくくってます。

まつパに通うため、最近はバイト頑張ってます。

どうでしょうか??

解釈不一致でしたら申し訳ないです。

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