保健室の前の廊下は、やけに静かだった。
窓の外はもう少し暗くなっていて、オレンジ色だった空も、だんだん青に変わり始めている。
私は壁にもたれながら、ぎゅっと制服の袖を掴いた。
さっきからずっと心臓が落ち着かない。
隣から声がする。
うまく返事ができなかった。
保健室の扉は閉まっている。
中では先生が美咲から話を聞いていた。
仁人は怪我の手当てで別室。
男に振りほどかれた時、手を切ったらしい。
思い出した瞬間、また胸がざわつく。
確かに
天使だし。
勇斗が少し笑う。
たぶん空気を軽くしようとしてる。
でも今は、うまく笑えなかった。
しばらくして、保健室の扉が開く。
先生が出てきた。
先生は少し疲れた顔をしていた。
私は小さく頷く。
先生は廊下を確認してから、声を落とした。
喉が詰まる。
勇斗の表情が消える。
停学。
いじめ。
美咲。
全部繋がっていく。
最近の違和感も。
怯えた顔も。
全部。
そう言って、先生はまた保健室へ戻っていった。
静かになる。
廊下に時計の音だけが響く。
私は俯いたまま動けなかった。
視界が滲む。
ぽた、と涙が落ちた。
自分でも意味が分からない。
なんで私が泣いてるんだろう。
でも止まらなかった。
声が震える。
思わず声が大きくなる。
最初から変だった。
ずっとなにかに怯えてるような。
空き教室の時も、母親のメールを見た後、様子がおかしかった。
停学から戻ってきた時も変だった。
スマホ鳴るたびびくってしてた。
誰かが近づくだけで肩揺らしてた。
顔色だってずっと悪かった。
涙で視界がぼやける。
胸が苦しい。
もし私がもっと早く気づいてたら。
もっとちゃんと見てたら。
少しは違ったのかなって。
勇斗は少し黙ったまま、私を見ていた。
いつもみたいに騒がしくなくて。
ただ静かに。
不思議そうに。
涙引っ込むんだけど。
勇斗が慌てて手を振る。
言葉が詰まる。
分からない。
でも。
それだけだった。
美咲が何したとか、されたとか。
そういうの全部抜きにして。
あの顔を見たら、放っておけなかった。
勇斗は少しだけ目を見開く。
それから、ふっと笑った。
でもその笑い方は、いつもの騒がしい感じじゃなかった。
どこか、優しかった。
その時だった。
保健室の扉が、少しだけ開く。
美咲が出てきた。
目元が赤い。
でも泣いてはいなかった。
ただ、疲れ切った顔をしていた。
勇斗は少しだけ迷うように視線を落としたあと、静かに口を開く。
美咲の肩がびくっと揺れる。
冗談っぽく笑う。
でもその目は真剣だった。
美咲が目を見開く。
その言葉に、美咲の唇が少し震えた。
私は勇斗を見る。
いつもの明るい佐野勇斗じゃなかった。
ちゃんと相手を見て。
ちゃんと考えて。
ちゃんと助けようとしてる顔だった。
美咲はしばらく何も言わなかった。
でも。
小さく、そう呟いた。
勇斗は笑う。
その笑顔は、テレビで見る“佐野勇斗”じゃなくて。
ただの、優しい高校生みたいだった。
12話ありがとうございます!!
♡と☆とコメント待ってます!
今日はいろはちゃん↓↓↓

ちょーギャルです!
校則違反しまくり。
校則は緩いですけど、これはやばいです。
全先生に認知されてます。
化粧!!って感じではなく、アクセサリーガチ勢です。
髪の毛は下ろしたり、巻くのがめんどくさいのでくくってます。
まつパに通うため、最近はバイト頑張ってます。
どうでしょうか??
解釈不一致でしたら申し訳ないです。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!