第4話

一癖も二癖もある私の担当
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2021/09/27 07:21
伊藤 あなた
彼女たちはいつになったら私の胸を揉むのをやめてくれるの?
ドラケン
あなたが胸ねぇのがいけねーんだろ
逆に揉まれてデカくなるからいいじゃん
伊藤 あなた
ドラケン、私はこういう遺伝だから仕方ないの
あとセクハラ発言言うな





シャワーを浴びて身体はさっぱりしたのに、心は穏やかではなくなった。

これは早く訪問を済ましてしまおうと早速本題に入った。




伊藤 あなた
ドラケン、最近変わったこととか悩んでいることある?
ドラケン
うーん……そうだなぁ……
伊藤 あなた
ないね。はい、今日はもうおしまい
ドラケン
おいおいおい、いいのかよそんなんで。ちゃんと仕事しろよ




してるよ、してる。毎日死ぬほど働いてる。だから、私を早く解放して。

間髪いれずに突っ込んできた彼にそういうと、いい大人がだらしないなと言われてしまう。

いいじゃないか!大人だってサボりたいときがあるんだよ!




ドラケン
変わったことならあるぜ。東卍・・の副総長になった
伊藤 あなた
……東卍?
ドラケン
知らねぇの?東京卍會っていう暴走族グループのNo.2に任命されたんだよ





はい???????
え、暴走族って暴走族ですか???
え、まってまってそれって不良じゃん。

いや、こめかみに龍の入れ墨入れちゃうあたりで普通じゃないけどさ、
喧嘩とかもめっちゃやりまくってたけどさ、暴走族ってもうそれあれじゃん。

喧嘩が日常じゃん。只でさえ他の担当してる子もヤバくて、対応に追われてるのに君までそうなるの?

考え直してよ、あなたをこれ以上苛めないでよ。




伊藤 あなた
いいや、捏造ていぞうしよう
ドラケン
いやいや、もう無理だろ









もう俺、名が知れ渡ってるし。








誇らしげに言った彼に鉄拳を落としたのは仕方のないことだと目を積むって欲しい。




─────
────
──


(それにしても東京卍會なんて聞いたことないけど、一体いつできたのだろうか?)




私はデスクで報告書を作成しながら考えたが、全く聞いたこともない名前だった。

ドラケンを訪問したのはちょうど一ヶ月前だから、それから今日までの間にできたのだろうけど、全く耳に入ってきていない。

なぜ?

いや、まあ、担当の子が中心人物じゃないからいっか。問題はなし。ドラケンはもう知らん。
担当を変えてもらおう。もう私の手には負えん!別に何かやったとかじゃないけど。




部長
伊藤くん、ちょっといいかね
伊藤 あなた
げ、部長なんですか?
部長
……君、今私の顔を見てゲッと言ったか?
伊藤 あなた
はい、言いました。反抗的な私はクビですか?クビでいいですよね?
むしろ、クビにして下さい、お願いします!



もうここで働くのは嫌なんだよ!部長の機嫌を損ねたらクビにるのなら喜んでやりますとも!!!



部長
………クビにはしない。お前に抜けられたら、東京が荒れる……。
と、そんなことを言いにきたんじゃない。お前、東京卍會
・・・・
を知ってるか?



(………うわ、ドラケンが入ったところじゃん)



伊藤 あなた
いいえ、知りません
部長
……お前、息するみたいに嘘つくなよ。今日龍宮寺のところに訪問行ってきたんだろう



白々しく答える伊藤に部長は汗をかく。
目の前の彼女はどれだけ厄介事を任されるのが嫌いなのだろうか。




部長
東京卍會は最近できた暴走族だが、できたばかりにも関わらず、
もうすでに100人を超えるメンバーが揃っている最も勢いある不良グループだ




(100人か、それはすごいな。感心感心。)


部長
その東京卍會と黒川イザナ率いる黒龍ブラックドラゴンが一昨日デカい抗争を起こした
結構大きなニュースになっていたが、知らないのか?


一昨日?……一昨日って何してたっけ?



あ、そうだ。六本木の双子の家庭訪問に行ったんだった。夕飯作れって脅されて作ったのはいいけど、なんか薬盛られて命からがら逃げてきたのだ。
昨日は盛られた薬がかなり強めの睡眠薬だったのか、ずっと眠気に襲われてたから無理やり有給を取って休んだの忘れてたわ。
テレビや新聞も見る程なかったから情報なんて入ってこなかったし。



………それより、




何やってくれとんじゃい、あの黒川イザナバカは。





楽しそうに人を殴っている黒龍ブラックドラゴンの総長の顔を思い出して、頭の中で握りつぶした。



部長
決着はついていなくて、今は停戦状態らしい、と言うわけで伊藤……





" お前、東京卍會の総長の佐野万次郎の担当よろしくな "






伊藤 あなた
………はい?





今、なんと?






部長
黒龍ブラックドラゴンの現総長の黒川イザナを大人しくさせたお前ならきっとできる
頼むな、まずは初回訪問から……
伊藤 あなた
いやいやいやいや、待ってくださいよ部長!死んじゃいますって!私無理ですよ!?
部長
頼む。お前しかいないんだ
伊藤 あなた
私だってもう限界ですよ!?せめて他の担当に変えてくださいよ





私の言葉にオフィス内にブリザードが吹き荒れる。




部長
……無理だ、どう考えても
伊藤 あなた
大丈夫ですよ、みんないい子ですから…




私の言葉にその場にいる全員が首を思いっきりに振った。




部長
どう考えても無理だ。龍宮寺は東京卍會のNo.2だ



大丈夫ですよ、彼、根はいい子ですから

部長
柴家の柴大寿は何人病院送りになったことか……



大丈夫ですよ、彼大分丸くなりましたから


部長
……黒川イザナはお前しか更生できない



あはは、私にも無理です。でもうまいご飯を食べさせておけば大人しいですよ


部長
双悪の双子もお前じゃないと手が付けられない



感情表現あべこべなだから慣れれば平気ですよ


部長
六本木の兄弟はもはや論外だ!!!



薬に耐性があればいけますって。おもちゃにされるだけで死にはしませんから


伊藤 あなた
三ツ谷隆なんてどうです?彼、1番まともですよ
部長
……その子は東卍の弐番隊隊長だ

ええ、何してるん、隆くんよ。
優しい君まで私を困らせる側に回るのかい?泣いちゃうよ?

部長
他にもお前が担当している奴は一癖も二癖もある奴らばかり……
他の人が行ったら、半殺しにされてしまうよ




じゃあ、私が死んでもいいいってことですか?




部長は私の返答を最後まで聞かずに頼むなと言い残して去ってしまった。



おい、こら、待ちやがれ。

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