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2021/09/30

第5話

複雑
報告書を提出した後、佐野万次郎という少年について調べてみたが、まぁ、見なきゃ良かったと後悔した。


"無敵のマイキー"という異名を持つ彼は圧倒的なカリスマ力で、同世代の不良共をまとめあげた所謂いわゆる神童だ。
彼が率いる東卍はできたばかりだが、集められている奴らがヤバい。だが、とにかく彼自信が凄かった。

強すぎて上級生全員を蹴散らかしてしまうのと、圧倒的なそのオーラで見る人を魅了させる。
それは、彼をどちらの世界にも引っ張れることを意味していた。 にしてもまぁ……

伊藤 あなた
家庭環境が複雑過ぎる……


母親は病死。父親はその後再婚し、万次郎には義理の妹ができるが、その再婚相手と別れて、事故死している。

万次郎は道場を経営している祖父に育てられたみたいだ。兄の真一郎が親代わりだったとはいえ、やはり黒いものを抱えていそうな感じた。


──
────
─────

伊藤 あなた
お邪魔しまーす



その万次郎の兄の真一郎のバイク屋に訪れた。



万次郎とはまだ会ったことないが、真一郎とは面識があった。

なぜなら、1年前に黒川イザナを担当する羽目になったのは、彼が児童相談所に連絡して来たのがきっかけだったからだ。



イザナのことは彼が施設にいる頃から知っていた。高校の時ボランティアで施設の手伝いをしていたときに、ちょうど居たのだ。

大学に行くために引っ越したから、高校卒業後、施設には顔を出さなかったから彼が何をしていたのかは知らない。
そんな中、1年前に真一郎から児童相談所に電話があった。


真一郎がイザナの施設を訪れたりして、信頼関係を築いていたのにイザナは母親に血が繋がっていないことを知らされて、真一郎に対しての信頼を失い暴走して手がつけられないという内容だった。



あのイザナを止めるのは本当に本当に大変だった。

なにをどうやって止めたのかよく覚えてないが、とにかく毎日訪問して荒れているイザナの手を無理やり引いて家に連れて帰り、夕食を食べさせて、話を聞いてやった。
そうしてるうちに段々イザナの心境も落ち着いていって暴走は一旦止まったのだが、根本的に解決した訳じゃなかった。







イザナは孤独だった─────。




心の底から家族を欲しがっていた─────。



だから、タイミングを見て佐野家に会わせられればなと思っていたから、佐野家には遅かれ早かれ訪問に行かなければいけなかっのだ。

でも、まさかこんな形で佐野家に行くことになるとは思いもしなかった。


真一郎
あなたじゃん!どうしたんだ??
伊藤 あなた
近くを通りかかったから、頼まれていたものを持ってきたんだよ
伊藤 あなた
はい

私には見てもよく分からないガラクタ同然のものを渡した。
だが、手渡された真一郎は目をキラキラ輝かした。

真一郎
これだよ!これ!サンキューな!
なかなか見つからねぇからどうしようって思ってたんだよ!


真一郎はそれを手に取ると、早速1台のバイクに座って作業を始めた。
真一郎
これでなんとか間に合いそうだ!ほんと、助かった!

お役所勤めの私には意外なことに色々な人との交流があった。

真一郎がどうしても見つからない部品があると言われて、ダメもとで探してみたが、喜んでもらえてよかった。
真一郎
これ、俺が乗ってたバイクなんだけど、弟の誕生日にプレゼントしてやろうと思って
伊藤 あなた
へー、ちなみにどっち?
真一郎
マンジローの方

にかっと笑って答えた真一郎に私は聞かなかったことにしようと思った。
万次郎ってまだ12歳じゃん。
堂々と無免許運転させる宣言しないでほしい。
真一郎
そういえば、今度うちにマンジローの初回訪問に来るんだろ?
伊藤 あなた
残念ながらね。ちゃんと家にいるように言ってよ

初回訪問でいないとか、ほんと、ただの無駄足でしかないから心からお願いする。
伊藤 あなた
真一郎、東卍と黒龍ブラックドラゴンはなんでぶつかったの?

彼らは兄弟であることはまだ当人たちも知らないはずだ。

万次郎はイザナという兄のことすら知らないし、イザナは真一郎に万次郎という弟がいることは聞いているが、顔はまだ認識していないはずだ。

家族のいざこざで抗争があったとは考えにくかった。
真一郎
うーん、俺も詳しくは知らないけど……
真一郎
なんか、マイキーのダチが黒龍ブラックドラゴンの縄張りに住んでるらしくて、
目つけられているから、そいつ守るためにチーム作って喧嘩売りに行ったらしいよ

あれま、想像していたよりチームを作った動機は男らしいじゃないの。

できればもう少し違う方法を取って欲しかったけど。
伊藤 あなた
ふーん、なるほどね。ありがと

腕時計を見ると意外に時間が経っていて、慌ててお店を出ようとした。
真一郎
?、どっか行くのか?

日は沈みかけ、店の前を通る人達は帰宅途中だろうが私は違った。


伊藤 あなた
今から訪問なの。急な呼び出し


帰り際にかかってきた担当しているところからのSOS。

息子が暴力事件を起こして、手がつけられないから来て欲しいという内容だった。
女の私が行っても何も変わらないと思うが、言われてしまったものはしょうがない。



私は今度こそ真一郎に別れの挨拶をして、お店を後にした。