真由は、イライラしているみたいだ
真由はなにも言えずにいた。
嬉しそうな坂本。
理奈を見送る長瀬。
坂本は、私を見ていなかった、
あんなに長い時間、一緒にいるのに・・・
落ち込む坂本・・・・
そうだよね。この日のために頑張っていたのに・・・・
坂本は、わたしの胸のなかで静かに泣いていた・・・・
これで、心が変わるとは思っていないけど・・・・
そして、坂本の部屋の明かりがついた。
和美さんが来たんだろう。
二人の会話は丸聞こえだ。
別に覗き見してないし・・・
聞き耳立てているわけでもない。
聞こえるのだ。
そう思いつつ、布団を被る。
聞きたくないのに!!
耳を押さえるわたし・・・
坂本は、こんなに悩むわたしのことなんて知らないんだろうな・・・
その夜、坂本は、宣言通り、和美さんに告白をした。
でも、彼女の答えは・・・
わたしは、告白の言葉も返事も聞かないまま一夜を過ごした。
次の日・・・・
知らないフリ知らないフリ
ドキリとした
知ってるよ・・・・
昼休み。
真由とお弁当を、食べてるときに打ち明けた。坂本が、いないところで・・・
その近くに長瀬くんがいた。
この話を聞いているかと思っていたけど・・・
彼の心は別の方向を向いていて・・・
坂本に、そう言われたから、今日こそ理奈ちゃんを誘わなきゃ!
坂本が、私に振り向いてくれる確率は、低い・・・
それなら、100%優しくしてくれる彼の方がいい。
なぜか、真由は言い返せないでいた。
坂本は、ずっとそう言ってた。
それが、坂本の願いだった。
小さいようで、大きい願いだ。
夏休みに入り、
そんなはず、ないのに
ダメよ、理奈。動揺しちゃダメ!
でも、まさかお兄ちゃんところに行くんじゃ・・・
耳もとで、囁かれ、不覚にもドキドキしたが、
そう言って花を包み終わり・・・
坂本を、見送った。
なんだか、嫌な予感がする
ピンポーン
ガチャ
ドアが開いたので
花から顔をだし、和美さんを驚かせようとしたが・・・
出てきたのは理奈のお兄さん。
ここって和美さんの家じゃ?
驚きすぎて声にならない。
俺は、理奈に会おうとしたが、なぜだか会えずにいた。
それから、しばらくして・・・
ザァ~
外は雨が降っていた。
屋根の上で話すつもりでいたの?
わたしは、思わず告白をしていた
理奈は、俺の部屋から出ていった。
理奈が俺を?
俺は今、混乱している・・・・
あれから、数日後・・・・
花火大会だ。
ふたりは、なかよく人混みに消えて行く
パンパン
花火が上がり始めた。
理奈はお祈りをしはじめた。
長瀬はその隣に並び、
理奈が微笑んだところに、長瀬は、キスをした。
しかも、唇?
理奈は驚いている。
そして、なぜか俺も・・・・
理奈が泣いている?
なぜかそう聞こえて逃げてきた。
理奈がそう返事したのを聞かずに・・・・
そして、月日は流れ、全国大会の当日。
理奈は、笑ってた。
ふたりは、仲良く手を振りあっている。
試合が始まった。
俺は、そこから、ドリブルをして、シュートを、決めた!
心のなかで思っていたことを長瀬は声に出した。
ザッ
見事にシュートは、決まり、
ピ~
試合終了!
わぁ~~
歓声が、あがる
本当は、嬉しい。すごくうれしい
こいつ(長瀬)は、俺のシュートに、「入れ」と言ってくれた・・・
写真撮り合ったり、乾杯したり盛り上がるメンバーたち。
それから、何ヵ月経ったのだろう
俺は理奈に気持ちを伝えないままでいる。
季節はいつのまにか進んで、卒業式だ。
初めて笑いかけてくれた
泣きそうなのを我慢してそっぽをむく
俺は、本当はこの時理奈に
「ありがとう」を伝えたかった。
自分の気持ちに初めて気づいたんだ。
あの告白から、俺の心は、動いていた。
今はもう、届くことがない想い・・・・
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。